職務著作とは?会社が著作者になるケースをわかりやすく解説【〇×クイズ付き】
「会社で作った資料の著作権は誰のもの?」
「従業員が作ったデザインや文章は会社のもの?」
「フリーランスが作った場合も同じ?」
このような疑問は、著作権の中でも特に相談が多いテーマです。
多くの方は「仕事で作ったものだから会社のもの」と考えていますが、法律上は必ずしもそうとは限りません。
そこで今回は、職務著作(職務著作権)について、できるだけ分かりやすく解説するとともに、最後には〇×クイズも用意しました。
そもそも著作者とは?
まず大前提として、著作権法では、
著作物を創作した人が著作者
です。
例えば、
- 小説を書いた人
- 写真を撮影した人
- イラストを描いた人
- プログラムを書いた人
これらの人が著作者になります。
つまり、基本的には「作った人」が権利者です。
職務著作とは?
職務著作とは、
一定の条件を満たした場合に、実際に作った従業員ではなく、会社などが著作者になる制度
です。
つまり、
通常
従業員が著作者
ではなく、
職務著作なら
会社が著作者
になります。
ここが非常に重要なポイントです。
職務著作になる条件
著作権法では、主に次のような条件があります。
①会社などの発意に基づいて作られたこと
会社から
「これを作ってください」
という業務として制作されたものです。
例えば
- パンフレット
- マニュアル
- 社内資料
- 広告
- ホームページ
などが該当しやすいでしょう。
②従業員等が職務上作成したこと
仕事として制作している必要があります。
例えば
- 正社員
- 契約社員
- 一定の場合の派遣社員
などが対象になります。
反対に、
休日に趣味で描いた漫画
などは職務著作にはなりません。
③会社名義で公表されること
例えば、
会社のホームページ
会社のパンフレット
会社名義の説明書
などです。
一方、
「○○デザイナー作」
など個人名で公表される場合は、この条件を満たさない可能性があります。
※ただし、プログラムの著作物など、一部例外があります。
④契約や就業規則で別段の定めがないこと
例えば、
「著作者は従業員とする」
という契約があれば、その内容が優先されます。
著作権が会社にあることと、職務著作は違う
ここは非常に誤解が多いところです。
例えば契約で
著作権を会社へ譲渡する
と定めれば、
最初は従業員が著作者になりますが、その後会社へ著作権が移転します。
一方、職務著作では
最初から会社が著作者
になります。
つまり、
- 職務著作
→ 最初から会社 - 著作権譲渡
→ 最初は本人、その後会社
という違いがあります。
フリーランスには職務著作は基本的に適用されない
ここも重要です。
例えば
会社がWeb制作会社へ依頼した場合
デザイン会社へ依頼した場合
イラストレーターへ依頼した場合
これらは通常、
職務著作にはなりません。
つまり、
著作者は制作者になります。
そのため、
契約書で
- 著作権譲渡
- 利用許諾
- 改変の可否
- 二次利用
などを明確に定める必要があります。
よくある例
会社員が営業マニュアルを作成
業務命令で作成し、会社名義で配布。
→職務著作になる可能性が高いです。
広報担当者が会社ホームページの記事を書く
会社の業務として執筆。
→職務著作となる可能性があります。
社員が休日に小説を書く
会社とは関係ありません。
→職務著作ではありません。
デザイナーが副業でロゴを制作
会社業務ではありません。
→職務著作ではありません。
外部の制作会社へホームページ制作を依頼
会社がお金を払っていますが、
著作者は制作会社側になることが一般的です。
契約で著作権の取扱いを決める必要があります。
〇×クイズ
第1問
会社員Aさんが、会社の指示で商品カタログを制作した。
会社名義で公開された。
職務著作である。
答え:〇
典型的な職務著作になりやすい例です。
第2問
社員が休日、自宅で趣味のイラストを制作した。
職務著作である。
答え:×
業務とは関係ありません。
第3問
会社が100万円払って外部デザイナーへロゴ制作を依頼した。
代金を払っているので会社が著作者である。
答え:×
代金を払っただけでは著作者にはなりません。
契約内容を確認しましょう。
第4問
会社員が会社ホームページの記事を書いた。
会社名義で掲載された。
職務著作になる可能性が高い。
答え:〇
条件を満たせば職務著作となる可能性があります。
第5問
会社が「著作権は社員に帰属する」と就業規則で定めていた。
それでも必ず会社が著作者になる。
答え:×
職務著作には「別段の定めがないこと」という要件があります。就業規則や契約で異なる定めがあれば、その内容が影響します。
第6問
会社員が業務時間中に、会社とは無関係な自分の小説を執筆した。
職務著作になる。
答え:×
勤務時間中であっても、会社の職務として作成したものではないため、通常は職務著作には該当しません。
Web制作・デザイン業界では特に注意
Webサイト制作やデザイン業界では、
- ロゴ
- バナー
- イラスト
- 写真
- プログラム
- ブログ記事
- 動画
など、多くの著作物が日常的に制作されています。
「お金を払ったから自由に使える」「納品されたから著作権も移転したはず」と思い込んでいると、後にトラブルになることがあります。
特に外部の制作会社やフリーランスへ依頼する場合には、著作権の帰属、利用範囲、改変の可否、再利用の可否などを契約書で明確に定めておくことが重要です。
まとめ
職務著作は、「仕事で作ったものだから自動的に会社のもの」という単純な制度ではありません。法律で定められた要件を満たした場合に限り、会社などが著作者となります。
一方で、外部の制作会社やフリーランスが作成した著作物については、職務著作が成立しないことが一般的であり、契約書によって著作権の帰属や利用条件を定める必要があります。
著作権をめぐるトラブルは、「誰が著作者なのか」「どのような権利を持っているのか」が曖昧なまま取引を進めたことが原因で発生するケースが少なくありません。事前に契約内容を整理しておくことで、将来的な紛争を予防することにつながります。
南本町行政書士事務所では、Webサイト制作契約、デザイン契約、システム開発契約、コンテンツ制作契約などに関する著作権条項の作成・確認サポートや、著作権の帰属に関する法務相談を承っています。制作会社・クリエイター・事業者のいずれの立場からでもご相談いただけます。
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大野