帰化とは(国籍法第4条第2項)

 帰化申請をした国の国籍を取得することです。

 日本においては、日本国籍の取得をすることを意味し、元の国籍はなくなります。つまり日本国民として扱われるという事になります。

 日本では、法務局へ帰化の申請をすることになっています。申請は、申請者本人が行う必要があります。

帰化の一般的要件(国籍法5条)

 帰化を認めるかどうかは、法務大臣に広い裁量(帰化を認めるかどうかの判断の余地)が認められていることから、申請すれば必ず認められるものではありません。帰化は申請してから許可、不許可と判断されるまで8か月から1年半が平均的な期間です。

 場合によっては3年ほどかかるケースもあります。これは一概には言えませんが、弊所が携わってきた範囲で大体の目安はお答えすることが出来ます。

 申請に必要な書類も多いことが特徴的です。

 そこで帰化要件に当てはまっているかどうかをまず事前に確認しておくことをお勧めします。

 最寄りの法務局か弊所のような行政書士、司法書士事務所であれば、ある程度の見通しはつきますので、まずはご相談下さい。
 では、帰化の要件とはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

⑴住所要件
 帰化申請をする時までに、継続して5年以上日本に在住していること。

⑵能力要件
 20歳以上で本国法によっても行為能力を有すること。
 つまり日本で20歳以上、ご自身の現在の国籍の国でも成人していることが要件となります。

 しかし、未成年でも帰化申請が出来る場合があります。

 国籍法8条に規定がありますが、わかりにくいので簡単に説明しますと、

①親が両方外国人でその親と一緒に未成年の子供が帰化申請する場合。これはよくある未成年者でも帰化できるパターンです。

これは特別養子縁組も含みます。つまり、親が既に日本に帰化していればその子供は自動的に日本人の子となります。

また親と一緒に帰化した場合であれば親が許可されるのであれば同じく日本人の子として扱われますので親と一緒に帰化申請すれば未成年の子の状態でも日本人に帰化することが出来ます。

②生まれた時から無国籍の場合。

③親が日本国民でその養子となっている場合で一年以上日本に住所を有している場合など。

※日本人と結婚した外国人の方も20歳未満で帰化できる要件が緩くなります(国籍法7条)。

これも簡単に言いますと、日本に住み始めて3年以上経ってから日本人と結婚するとします。例えば、15歳で来日して3年住んで18歳になってから日本人と結婚するとします。これなら7条でいう、「日本人の配偶者」という要件と「引き続き3年以上日本に住所を有する」という要件を満たすことになります。よって帰化申請が未成年でも出来ます。

他のパターンでは、外国に住んでいる状態で日本人と結婚するという場合もあります。

例えば、アメリカ在住の未成年者Aさん(16歳)と日本在住の日本人が結婚したとします。Aさんは仕事の都合で結婚した後もアメリカに3年住んで遠距離結婚となっています。その後仕事も落ち着いてAさんは来日します。そこから日本で1年以上住んだ場合7条の要件の「婚姻の日から3年を経過し」という要件と「引き続き1年以上日本に住所を有する」という要件を満たすためAさんは未成年でありながら帰化申請が出来ます。

 帰化は本当に奥が深いです。法務局の戸籍課は非常に親切ですので直接聞きに行っても色々教えてくれます。

⑶素行要件
 過去の犯罪歴の有無や税金の滞納状況等を考慮して素行が善良であるかどうかを判断されます。

⑷生計要件
 帰化後、日本で生活に困ることなく暮らしていける資産または技能を有していること。
 この要件は、生計を1つにする親族単位で判断されることになっていますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産または技能によって安定した生活を送ることができれば、条件を満たすことになります。

⑸重国籍防止要件
 無国籍または原則として帰化によって母国籍を喪失すること。

⑹憲法遵守要件
 日本の政府に対して暴力で破壊を企てたり、その主張をするような者でないこと、あるいは、そのような団体を結成・加入していないこと。

⑺日本語要件(法律上は求められていません)
 小学3年生程度の日本語(読み書きや会話)能力を有していること。
 これは日本国民になるということは日本で生活することを前提としています。ですから最低限の読み書きができる、話せるということが求められます。

○申請の流れ(当事務所にご依頼いただいた場合の帰化申請の流れ)

 帰化の申請には、必要な書類が多いことから、書類の収集に時間がかかります。
 また、許可されるまでの期間は概ね申請してから許可、不許可の判断まで半年から1年半ほどかかります。

ちなみに法務局への申請費用は無料です。帰化を申請し許可してもらうまでの許可申請費用なるものはありません。

⑴まず、お客様にお問い合わせいただきましたら、ご状況を確認するために入念なヒアリングを行います。そして、今回の帰化申請についての必要書類等などをご確認いただきます。

⑵申請書等の書類を書き、必要な書類を収集できたら、帰化申請者の住所地を管轄する法務局に申請書と必要書類を提出します。

 当事務所にご依頼いただいた場合は、当事務所で集めることが出来る書類は当事務所が集めます。また申請者に集めていただく書類は申請者に集めていただきます。本国の戸籍は必ず必要になり、翻訳文をつけて法務局へ提出となります。この翻訳作業を当事務所で翻訳家に依頼することも出来ますが、ご自身で翻訳できる場合は翻訳にかかる費用を抑えることが出来るので、可能な場合はお申し出ください。

⑶法務局が書類の審査等の手続きを開始します。

⑷法務局での面接が行われます。
 この時は申請者と当事務所の行政書士がご同行いたします。面接の前にどのように面接をこなせば良いのかといったことも当事務所でシュミレーション出来ますのでご安心ください。

⑸法務大臣による許可・不許可処分がなされます。

⑹帰化許可がなされた場合には、帰化後の手続きに移ります。

帰化申請に必要な書類(基本的なもの)

・帰化許可申請書

・親族の概要を記載した書類

・帰化の動機書

・履歴書

・生計の概要を記載した書類

・事業の概要を記載した書類

・住民票の写し

・国籍を証明する書類

・親族関係を証明する書類

・納税を証明する書類

・収入を証明する書類

・在留歴を証明する書類

 以上は、帰化申請に基本的に必要となる書類の一覧ですので、申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要書類は変わる可能性があります。

帰化許可が下りた後

 日本国籍を取得すると、身分証明書という表彰状に似たものが交付されます。
 これは、帰化後において唯一の身分証明書といえる重要なものですので大切に保管してください。
 そして、役所へ行き、帰化の届け出を行い各種の名義変更等を行う必要があります。
 帰化後、必ず行わなければならないことは、以下の手続きです

⑴帰化届の提出 
 帰化申請時に本籍地とした市町村に身分証明書と帰化届を提出します。
 この手続きを行うことで戸籍が編製されます。

⑵外国人登録証の返納(お持ちの場合)
 これを怠ると、罰則がありますのでご注意ください。