YouTubeチャンネルの権利は誰のもの?運営者・出演者・制作会社との関係を解説
YouTubeチャンネルの運営が一般化した現在、企業や個人事業主、芸能関係者の皆さんがふと以下のことを考えることはあるのではないでしょうか。
「このYouTubeチャンネルは誰のものなのか」
「運営担当者が辞めたらどうなるのか」
「出演者が独立したらチャンネルは持っていけるのか」
YouTubeチャンネルは目に見える財産ではありませんが、登録者数や動画コンテンツ、広告収益など大きな価値を持つ資産です。
今回は、YouTubeチャンネルの権利は誰に帰属するのかについて、法的な観点から解説します。
YouTubeチャンネルは「誰のもの」なのか
まず前提として、法律上「YouTubeチャンネル権」という権利が存在するわけではありません。
しかし、実務上は次のような権利や利益の集合体として考えることができます。
- Googleアカウントの管理権限
- YouTubeチャンネルの運営権限
- 動画の著作権
- チャンネル名やロゴに関する権利
- 広告収益を受け取る権利
- 登録者やブランド価値
そのため、「誰のものか」という問題は、一つの権利ではなく複数の権利関係を整理する必要があります。
原則はアカウント管理者が強い立場にある
YouTubeチャンネルはGoogleアカウントに紐付いています。
そのため、実際には、
- アカウントを作成した人
- ログイン情報を管理している人
- オーナー権限を持つ人
が極めて強い支配力を持っています。
例えば、
- 企業が運営しているつもりだった
- 従業員が個人アカウントで開設していた
というケースでは、退職時にチャンネルを巡ってトラブルになることがあります。
登録者が数万人、数十万人規模になってから問題が発覚することも珍しくありません。
会社のチャンネルは会社のものになるのか
会社の業務としてYouTubeチャンネルを運営している場合、基本的には会社の事業資産として扱われる可能性が高いでしょう。
もっとも、
- 誰がアカウントを作成したのか
- 誰が費用を負担したのか
- 誰の指示で運営していたのか
- 契約や社内規程はどうなっているのか
によって判断は変わります。
例えば、
会社の広報担当者が業務としてチャンネルを開設し、会社の資金で運営していた場合には、会社側が権利を主張しやすいでしょう。
一方で、担当者個人のアカウントで始めたものを後から会社が利用していたようなケースでは、権利関係が複雑になります。
出演者はチャンネルを持っていけるのか
企業チャンネルや芸能事務所のチャンネルでは、
- 出演者が人気を集める
- 登録者が増える
- 出演者が独立する
という流れがよくあります。
この場合、
「視聴者は自分を見て登録したのだからチャンネルは自分のものだ」
と考える出演者もいます。
しかし、必ずしもそうとはいえません。
チャンネルの所有・管理権限と出演者としての人気は別問題です。
仮に出演者の知名度によって成長したチャンネルであっても、
- アカウント管理者
- 運営主体
- 契約内容
によっては、出演者がチャンネルを取得できるとは限りません。
動画の著作権は誰にあるのか
YouTubeチャンネルと動画の著作権は別問題です。
例えば、
- 撮影者
- 編集者
- 制作会社
- 出演者
が関与している場合、誰が著作権を持つのかが問題になります。
業務委託で動画制作を依頼した場合でも、
「著作権は発注者に譲渡する」
という条項がなければ、制作会社側に著作権が残る可能性があります。
その結果、
- 動画の再利用ができない
- 別媒体への転用ができない
- 編集データを引き渡してもらえない
といった問題が生じることがあります。
制作会社とのトラブルも多い
近年はYouTube運営代行サービスも増えています。
しかし、
- チャンネルは誰の名義か
- ログイン情報は誰が管理するのか
- 動画の著作権は誰が持つのか
- サムネイルの権利はどうなるのか
- 契約終了後にチャンネルを引き継げるのか
が曖昧なまま運営を開始しているケースもあります。
運営が順調なうちは問題になりませんが、契約終了時や報酬トラブルが発生した際に紛争化しやすい分野です。
契約書で決めておくべき事項
YouTubeチャンネルの運営を他人と共同で行う場合は、あらかじめ契約書で整理しておくことが重要です。
特に次の事項は明確にしておきましょう。
チャンネルの管理権限
- オーナーは誰か
- 管理者権限は誰が持つか
- パスワード管理方法
著作権の帰属
- 動画
- サムネイル
- ロゴ
- BGM
- 台本
の権利関係
収益の分配
- 広告収益
- 案件収益
- メンバーシップ収益
の分配方法
契約終了時の処理
- チャンネルの引継ぎ
- 動画データの扱い
- 編集データの返還
- アカウント権限の移転
相続の問題もある
個人で運営しているYouTubeチャンネルは、一定の財産的価値を持つ場合があります。
そのため、
- YouTube収益
- スポンサー契約
- チャンネル運営権限
などについて、相続や死後事務の問題が生じることがあります。
近年ではデジタル遺産の一つとしてYouTubeチャンネルをどう管理するかが注目されています。
特に収益化されているチャンネルの場合は、生前から整理しておくことが望ましいでしょう。
まとめ
YouTubeチャンネルについては、「誰のものか」を一言で決めることはできません。
実際には、
- アカウント管理権限
- 著作権
- 収益受領権
- ブランド価値
など複数の権利が重なり合っています。
そして、運営者、出演者、制作会社、企業など複数の関係者が関与することで、権利関係はさらに複雑になります。
チャンネルが成長してからトラブルになると、登録者数や収益規模によっては大きな損失につながることもあります。
そのため、YouTubeチャンネルを事業として運営する場合には、開設時の段階から権利関係を整理し、契約書によって明確化しておくことが重要です。
南本町行政書士事務所では、YouTubeチャンネル運営に関する契約書の作成・確認、著作権に関するご相談、制作会社や出演者との権利関係の整理などの法務サポートを行っております。チャンネル運営に関する法的リスクが気になる方は、お気軽にご相談ください。
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大野