契約書作成・既存契約書見直しのご相談を承っています。取引トラブルを未然に防ぐための予防法務をサポート。業務委託契約、売買契約、フランチャイズ契約など各種契約書に対応しています。オンライン相談対応。法務顧問のご相談も承ります。原則として1〜2営業日以内にご返信しております。

業務委託契約終了後に注意したいこと|フリーランス・事業者が確認しておきたいポイント

業務委託契約というと、「契約中」の内容ばかりに目が向きがちです。

しかし、実際には契約終了後にトラブルになるケースも少なくありません。

特にフリーランスや個人事業主の場合、

「契約が終わったから関係も完全に終了した」

と思っていたところ、後から、

「データを消してください」
「SNS投稿は困ります」
「秘密保持義務があります」

などと言われることもあります。

そのため、業務委託契約では「終了時」や「終了後」の扱いも重要になります。

目次

契約終了=すべて自由、とは限らない

業務委託契約が終了すると、仕事自体は終わります。

しかし、

・秘密保持
・著作権
・データ管理
・実績公開
・競業避止
・アカウント管理

などについては、契約終了後も一定の制限や義務が残ることがあります。

特に契約書に、

「契約終了後も有効とする」

という条項がある場合には注意が必要です。

① データの返還・削除

まず確認したいのが、データの扱いです。

例えば、

・顧客情報
・売上データ
・画像素材
・制作データ
・ログイン情報
・未公開資料

などを扱っていた場合、契約終了後にどうするのかが問題になります。

実務では、

「返還してください」
「削除してください」

と言われることがあります。

一方で、

「ポートフォリオ用に保存していた」
「バックアップに残っていた」

など、認識の違いが起きることもあります。

そのため、

・返還義務の有無
・削除義務の範囲
・保存可能なもの
・保存期間

などは確認しておきたいところです。

② 秘密保持義務は終了後も続くことがある

業務委託契約では、秘密保持条項(NDA)が入っていることがあります。

そして、この秘密保持義務は、契約終了後も継続する形になっていることが珍しくありません。

例えば、

・取引先情報
・未公開企画
・社内情報
・売上状況
・マーケティング情報

などを、契約終了後にSNSや他案件で話してしまうと問題になる可能性があります。

特に最近は、SNSや動画配信での発信が身近になっているため、

「どこまで話してよいのか」

を意識する必要があります。

③ 実績公開・ポートフォリオ掲載

フリーランスにとって、実績公開は営業上重要です。

しかし、

「制作したものだから自由に載せられる」

とは限りません。

例えば、

・公開前案件
・クローズド案件
・企業名非公開案件

などでは、掲載制限がある場合があります。

また、契約書で、

「実績公開には事前承諾が必要」

となっていることもあります。

逆に、契約書に明確な記載がなく、後から認識のズレが生じるケースもあります。

特に、

・SNS掲載
・制作事例掲載
・ポートフォリオ
・動画実績紹介

などを行う場合は注意したいところです。

④ アカウント・権限の整理

最近はオンライン業務が増えているため、アカウント管理も重要です。

例えば、

・SNS管理権限
・広告アカウント
・クラウドサービス
・サーバー管理
・共有ドライブ

などを扱っていた場合、

「誰が権限を持つのか」

を整理しておかないと、終了後のトラブルにつながることがあります。

特に、

・ログイン情報変更
・権限削除
・管理者移行

などは、契約終了時に整理しておきたいポイントです。

⑤ 途中終了時の報酬

業務委託契約では、契約途中で終了するケースもあります。

その際、

・作業済み部分は支払われるのか
・着手金は返金するのか
・月額契約は日割りなのか

などでトラブルになることがあります。

例えば、

「途中終了だから全額払わない」

という認識と、

「ここまでは作業済み」

という認識が食い違うことがあります。

そのため、契約書では、

・途中解除
・違約金
・精算方法

なども確認しておくことが重要です。

⑥ 「終了後に競合で働かないでください」と言われるケース

契約によっては、

「一定期間、競合他社で仕事をしない」

という内容が入っていることがあります。

いわゆる競業避止条項です。

ただ、フリーランスの場合、これが過度に広いと、実質的に仕事ができなくなることもあります。

例えば、

・地域制限
・期間制限
・業種制限

などが広すぎないかは確認したいところです。

契約終了時は「整理」が重要

業務委託契約では、契約開始時ばかりに目が向きがちです。

しかし実際には、

「終わり方」

によって、その後の関係やトラブルリスクが大きく変わることがあります。

例えば、

・データ返還
・SNS掲載
・秘密保持
・権限削除
・報酬精算

などを整理せずに終わると、後から認識違いが出やすくなります。

最後に

フリーランスや事業者にとって、業務委託契約は「契約中だけ」の問題ではありません。

契約終了後にも、

「これは使っていいのか」
「これは公開していいのか」
「どこまで義務が残るのか」

という問題が出てくることがあります。

契約終了時は、単に仕事を終えるだけではなく、

「何を残し、何を返し、何を続けるのか」

を整理する場面でもあります。

契約書の終了条項や秘密保持条項などを確認しながら、トラブルを防ぐ形で区切りをつけることが大切なのかもしれません。

大野

目次