「株主」と「社員」は何が違う?会社に出資する2つの形を分かりやすく解説
会社について調べていると、「株主」という言葉と「社員」という言葉が出てくることがあります。
「社員」と聞くと、会社で働いている従業員を思い浮かべるかもしれません。
しかし、会社法の世界では、「社員」という言葉が別の意味で使われることがあります。
たとえば、合同会社では「社員」という言葉が登場します。
では、株式会社の「株主」と合同会社などの「社員」は、何が違うのでしょうか。
ポイントは、どちらも会社に出資する立場であるものの、その仕組みが違うということです。
まず「株を買う」ところから考えてみる
株式会社を例に考えてみましょう。
たとえば、ある株式会社が新しく事業を始めるために、100万円のお金を集めたいとします。
そこで会社が株式を発行し、その株式を誰かが購入します。
「1株1万円」であれば、10株購入することで10万円を出資することになります。
このようにして株式を取得した人が「株主」です。
簡単にすると、
株式を買う
↓
株式を持つ
↓
株主になる
という流れです。
株主は、会社に出資した見返りとして株式を持ち、その株式に応じて一定の権利を持つことになります。
では「社員」とは?
一方、合同会社などの「持分会社」では、株式会社のような「株式」という仕組みを使いません。
たとえば、合同会社を設立するために、Aさんが50万円、Bさんが50万円を出資したとします。
この場合、AさんとBさんは、その合同会社の「社員」となります。
ここでいう「社員」は、会社で働いている人という意味ではありません。
会社に出資して、会社の社員としての地位を持つ人
という意味です。
したがって、
株式会社
→ 株式を取得する
→ 株主になる
合同会社
→ 出資する
→ 社員になる
と考えると、まず違いが分かりやすくなります。
「株主」と「社員」は、どちらも出資者
ここが少しややこしいところです。
「株主」と「社員」は別の言葉ですが、どちらも会社に出資する立場です。
たとえば、
株式会社に100万円を出資する
→ 株式を取得する
→ 株主になる
合同会社に100万円を出資する
→ 持分を持つ
→ 社員になる
という違いがあります。
つまり、
「会社にお金を出した人」という点では似ているけれど、会社の仕組みが違う
ということです。
「株を買う」と「出資する」は同じではない
では、株式会社と合同会社では何が違うのでしょうか。
一番分かりやすいのが、「株式」があるかどうかです。
株式会社では、会社の持分が「株式」という形になっています。
そのため、
「この会社の株を100株持っている」
「この会社の株式を取得した」
という表現をします。
一方、合同会社には株式会社のような「株式」はありません。
そのため、
「合同会社の株を買った」
という考え方は基本的にはしません。
合同会社では、出資した社員が「持分」を持つことになります。
つまり、
株式会社=株式
合同会社=持分
という違いがあります。
株式会社では「株式」という形に分けられている
株式会社の特徴は、会社の持分が株式という形に分けられていることです。
たとえば、会社が1,000株を発行していて、そのうち100株を持っていれば、100株分の株主としての地位を持つことになります。
そして、株式には原則として譲渡することができるという特徴があります。
そのため、上場会社であれば、証券取引所を通じて株式を買ったり売ったりすることができます。
「株を買う」という言葉が一般的に使われているのも、この仕組みがあるからです。
合同会社では「社員」という立場が重要
一方、合同会社では、株式会社のように「株を買う」という仕組みではありません。
出資した人が社員となり、社員として会社に関わります。
そして、合同会社では、原則として社員自身が会社の業務を執行します。
つまり、
株式会社では「株主」と「経営者」が分かれることがある
のに対し、
合同会社では「出資する人」と「経営に関わる人」が近い
という特徴があります。
もちろん、株式会社でも株主自身が会社を経営することはあります。
また、合同会社でも業務執行社員など、役割を分けることができます。
そのため、単純に「株式会社は経営者と出資者が別、合同会社は同じ」と覚えるのではなく、会社の仕組みそのものが違うと理解する方が正確です。
株式会社と合同会社を比べてみる
ここまでを簡単に整理すると、次のようになります。
| 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|
| 出資した人 | 株主 | 社員 |
| 出資の単位 | 株式 | 持分 |
| 「株を買う」という仕組み | ある | ない |
| 会社との関係 | 株主として関わる | 社員として関わる |
| 経営との関係 | 株主と経営者を分けることができる | 社員が業務を執行するのが原則 |
| 株式の譲渡 | 原則として可能 | 持分の譲渡には一定の制限がある |
このように考えると、「株主」と「社員」は似ているようで、実は会社への関わり方が違うことが分かります。
「有限会社の社員」はどうなる?
ここで、さらにややこしいのが「有限会社」です。
「有限会社にも社員がいるのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
確かに、昔の有限会社では「社員」という言葉が使われていました。
しかし、2006年に会社法が施行され、それ以降は新しく有限会社を設立することはできなくなりました。
現在残っている有限会社は、法律上は「特例有限会社」として扱われています。
そして、特例有限会社は会社法上、株式会社の一種です。
そのため、現在の特例有限会社については、
「有限会社だから社員が出資者」
と考えるのではなく、
「特例有限会社の出資者は株主」
と考えることになります。
ここは、会社に関する書類を見るときにも注意したいところです。
「社員」という言葉だけでは判断できない
「社員」という言葉には、日常会話で使われる「従業員」という意味もあります。
一方、会社法では、合同会社などの持分会社について「社員」という言葉が使われます。
さらに、昔の有限会社でも「社員」という言葉が使われていました。
そのため、
「社員=会社で働く人」
とだけ覚えていると、会社の書類を読んだときに混乱することがあります。
会社について考えるときには、
「この社員は、どの法律上の意味で使われているのか」
を確認することが大切です。
「株を買う」から考えると分かりやすい
最後に、できるだけ簡単にまとめてみましょう。
株式会社の場合
会社に出資する
↓
株式を取得する
↓
株主になる
合同会社の場合
会社に出資する
↓
持分を持つ
↓
社員になる
どちらも「会社に出資する」という点では共通しています。
しかし、
株式会社では「株式」を通じて株主になる。
合同会社では「持分」を通じて社員になる。
という違いがあります。
「株主」と「社員」という言葉だけを見ると、まったく違うものに感じるかもしれません。
しかし、どちらも会社に出資する人という共通点があります。
違うのは、どのような会社の形で、どのような仕組みを通じて会社に関わるのかという部分です。
会社設立や定款、出資に関する書類を見るときには、「株主なのか、社員なのか」という言葉だけでなく、
「株式会社なのか、合同会社なのか」
という会社の種類から確認してみると、仕組みがぐっと分かりやすくなります。
関連するサポート
感情や立場の違いが関わる問題は、早めに整理しておくことで 将来のトラブルを防げる場合があります。
大野