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保護責任者遺棄罪とは?成立するケースと注意点を解説

高齢者の介護や子育て、障がいのある方の支援などに関するニュースで、「保護責任者遺棄」という言葉を耳にすることがあります。

しかし、単に面倒を見なかっただけで犯罪になるのか、どのような場合に成立するのかについては、正しく理解されていないことも少なくありません。

今回は、保護責任者遺棄罪の概要や成立要件、具体例について解説します。

目次

保護責任者遺棄罪とは

保護責任者遺棄罪は、刑法第218条に規定されています。

老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者が、これらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。

簡単に言えば、

自分で十分に生活できない人を保護する義務があるにもかかわらず、その人を見捨てたり、必要な保護を行わなかったりした場合に成立する犯罪

です。

「遺棄」とは何か

遺棄というと、

「山中に置き去りにする」
「路上に放置する」

といった行為を想像する方が多いかもしれません。

しかし、保護責任者遺棄罪における遺棄は、それだけではありません。

例えば、

  • 介護が必要な高齢者を自宅に残したまま長期間帰宅しない
  • 乳幼児を放置して外出する
  • 病人を適切な医療機関へ連れて行かない
  • 食事や水分を与えない

といった行為も問題となる場合があります。

「保護責任者」とは誰か

保護責任者とは、法律上または事実上、その人を保護する義務を負っている者をいいます。

代表例として、

  • 親と未成年の子
  • 高齢者を介護している家族
  • 障がい者施設の職員
  • 病院の看護職員
  • 児童福祉施設の職員

などが挙げられます。

血縁関係がなくても、実際に保護・監督する立場にあれば保護責任者と認定されることがあります。

「何もしなかった」だけでも成立することがある

保護責任者遺棄罪の特徴は、

積極的に危害を加えなくても成立し得る

という点です。

例えば、

  • 明らかに衰弱している高齢者を放置した
  • 重い症状があるにもかかわらず救急車を呼ばなかった
  • 幼児を何日も適切に監護しなかった

といった場合には、必要な保護をしなかったとして問題になることがあります。

そのため、

「暴力は振るっていないから大丈夫」
「何もしていないだけだ」

という考え方は通用しない場合があります。

保護責任者遺棄致死傷罪とは

保護責任者遺棄によって相手が負傷したり死亡したりした場合には、より重い犯罪となります。

刑法第219条では、保護責任者遺棄致死傷罪が規定されています。

例えば、

  • 乳幼児を放置した結果、重度の脱水症状になった
  • 介護放棄によって高齢者が死亡した
  • 必要な医療措置を受けさせず死亡させた

といったケースです。

結果が重大であるため、刑罰も重くなります。

高齢者介護における問題

近年は高齢化に伴い、介護に関する保護責任者遺棄事件が注目されています。

もっとも、介護をしている家族が直ちに犯罪者になるわけではありません。

現実には、

  • 介護疲れ
  • 経済的困窮
  • 孤立
  • 認知症への対応困難

など、様々な事情を抱えている場合があります。

そのため、介護が困難になった場合には、一人で抱え込まず、

  • 地域包括支援センター
  • ケアマネジャー
  • 福祉サービス
  • 医療機関

などへ早めに相談することが重要です。

児童虐待との関係

保護責任者遺棄罪は、児童虐待事件でも問題になることがあります。

例えば、

  • 長時間子どもだけを自宅に残す
  • 食事を与えない
  • 医療機関への受診を拒む

といった行為が、保護責任者遺棄罪や保護責任者遺棄致死傷罪として立件されることがあります。

近年では、ネグレクト(育児放棄)に関する事件で適用されるケースも少なくありません。

どこまでが犯罪になるのか

実際には、

  • 保護義務が存在したか
  • 必要な保護を怠ったか
  • 危険性を認識していたか
  • 結果との因果関係があるか

など、様々な事情を総合的に判断して決められます。

単なる不注意や一時的な判断ミスではなく、具体的な状況を踏まえて捜査・裁判が行われます。

まとめ

保護責任者遺棄罪は、幼児や高齢者、病人など、自ら十分に身を守ることができない人を保護する義務がある者が、その責任を放棄した場合に成立する犯罪です。

特に、

  • 高齢者介護
  • 子育て
  • 障がい者支援
  • 医療・福祉現場

などでは問題となる可能性があります。

「何もしない」という行為が刑事責任につながることもあるため、保護が必要な方を支援する立場にある場合は注意が必要です。

また、介護や養育に限界を感じた場合には、問題が深刻化する前に専門機関や支援制度を活用することが大切です。

大野

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