今回から、契約書作成の流儀と題しまして、弊所が過去取り扱ってきました契約書の種類、ビジネス契約の業種をサンプルにして、最低限この種類の契約書を作成する際には、ここに気をつけてくださいといったものを情報としてご提供しようと思います。弊所は設立2年経過していませんが、すでに100種類以上のジャンルの契約書の作成を行ってきました。その中で感じたことを中心に語っていきます。アーカイブはしばらく残しておきますから、ご興味のある方は是非参考にしてください。では早速はじめていきましょう。今日はNDAです。

NDA(秘密保持)契約を締結する際にはその目的に留意してください。NDAと一口に言ってみても、保護したい情報は、単純な個人情報なのか、それとも企業情報なのか、取引先の情報なのか、何かの製品開発についてなのか、様々です。もちろん厳密に目的がなかったとしても契約書は争いになった際、裁判所で合理的に解釈はされますから、何がなんでもというわけでは有りませんが、それでもある程度絞ってご自身で定義付けしておいたほうがよいでしょう。

次に開示できる場合はいつかです。もちろん官公署から犯罪捜査などで開示請求がなされることがありますが、これについては開示せざるえないところです。しかし、官公署命令以外であれば、それは関係者ならよいのか、その範囲はどこまでか、これについても記載しておく必要があります。

そもそも情報というのは活用の途があるから守るわけです。従って、使えない情報は守る必要がありません。NDAを交わすということは、その情報は何らかの形で使うということですので、これについては開示先は厳格にしておいた方がよいでしょう。

次に、罰則です。どういう状態になれば、契約違反になるのか、伝搬可能性の時点か、実際に広まったらなのか、また損害賠償義務は伝搬可能性が生じた時点で自動発生するのか、それとも被害者側(公開された側)からの請求を待つのか、この辺りも明確にしておきましょう。また賠償範囲も全額としておくと情報という目に見えない媒体である以上、無制限に責任を負う、負わせることにもなり、範囲の限定文言は入れておく必要があります。また立証責任も明確にしておきましょう。

違反行為があった後、場合によっては情報を公開された側は取り返しのつかない最悪の事態になる可能性があります。その時、裁判で更に立証もしないといけないとなると、業務や生活に支障が出るでしょうし、最初にNDAを交わす意味はありません。

そこで立証はどちらがするのか、これはぜひ明確にしておいてください。

最低限はこのラインですが、他にも暴排条項や裁判管轄、下請法を考慮し広がった秘密の責任の所在なども決めておくと良いものもあります。

西本