契約は締結するもしないも当事者の自由です。そしてどのような内容の契約とするかもまた当事者の自由です。

そうであるならば、当事者がこれでよいと決めた契約であればそれは守られるべきです。

よって一度締結した契約は原則として守られるべきであるということになります。

しかし、長期契約であれば特に後の事情で契約当時と事情が異なり、当時の契約のままいくと一方に過大な負担を強いることがあります。

そのような場合には、当時の契約を覆し、今一度契約を締結し直すということが理論上可能ではあるという理屈があります。これを事情変更の原則と言います。

もっとも、他方の当事者からするとこれはこれで不公平ともとれるため、事情が変更されればいつでも変更を求めることができると言う訳ではありません。判例上は、契約締結後の事情が当事者にとって予見することができず、かつ、当事者の責めに帰することのできない事情によって生じたものであることが必要とされています(最判平成9年7月1日)。

借地借家法11条では土地の価格の上昇などを理由に契約締結時の家賃を見直すことができるという規定がありますのでこれも事情変更の原則を条文化したものの一種ということになります。

行政書士 西本