今回も前回に引き続き債権譲渡を扱う。譲渡禁止特約付き債権を譲渡した場合には有効であり、しかし債務者は悪意、重過失ある新債権者に対し弁済を拒めることは前回解説をした。

では債権譲渡禁止特約を差し押さえた債権者がいた場合、どのように取り扱うのか。改正民法ではこの場合、強制執行まで行けば差押債権者が債権譲渡金sに特約付きであることに悪意、重過失があったとしても債務者は履行を拒むことができないとしている(新民法466条の4第1項)。

つまり、前回の話は強制執行まで行かない場面での話で今回は強制執行まで行くということである。

端的に言えば、譲渡制限付きに悪意、重過失ある新債権者は差し押さえないで債務者に弁済を促しても、払ってもらえないが、差し押さえはできるし、その場合に強制執行まで行けば、債務者は弁済をすることになるということである。事実上譲渡制限は意味をなさないことになる。これは強制執行できない財産権を私人間で作り出すことを防ぐ趣旨とされている。

従来の民法でも同じような規定であったが、この話は転付命令という形で判例があった。これが条文化したということで押さえておいてもらいたい。

西本