即時取得とは簡単に言いますと、例えば、腕時計(動産)の売買をする場合、目の前の売り主がその時計の本当の持ち主でないのに、持ち主のふりをして売ってきた、そして買主は相手を本当の持ち主と信じた、その結果取引は有効に成立するというルールです(民法192条)。

本来であれば本当の持ち主でないのですから、その人に所有権はありません。所有権がないのですから、売却する権利もないはずです。しかし信じた買主を保護しないと毎回売り主が本当に権利を持っているかを調べないといけなくなります。それは取引は泊まってしまいます。そこで出来たルールです。

所有権を移転させる方法は、ハイどうぞという風に現実に渡すだけではありません。それ買うけど明日取りに来るよというその日にものを現実に渡さない場合もあります。このような渡し方を「占有改定」といいます(民法183条)。

ではこの占有改定の時でも即時取得は成立するかが問題となります。即時取得は買主の保護にあります。なぜ保護するかといいますとすでに手に入れているからです。ということは未だ実際に手に入れていない、つまりものが動いていないという場合、これは売り主がさらに第三者に売ったりして、さらに利害関係人が出てしまいいったい誰を保護すればいいのかわからないということもあります。そこで、占有改定では即時取得は成立しないとしました。きちんと外観が動くようなそんな取引の場合のみ即時取得を適用します。

行政書士 西本