生徒「今日からよろしくお願いします」
講師「はい、よろしくお願いします。今日から行政書士試験の対策を始めます」 生徒「何から手をつければいいか」
講師「法律の勉強はしたことありますか?」
生徒「全くありません」
講師「では、入りやすく、試験のボリュームもある民法から始めましょう」
生徒「民法って何ですか?」
講師「民法と言うのは、例えば、喫茶店に行きますよね。そこで一杯220円のコーヒーを注文したとします。この注文したという行為はコーヒーを飲みたいというお客さんの意思とコーヒーを売りたいという喫茶店の意思が220円で売るという所で一致すれば売買契約(民法555条)が成立します。成立すれば、お客さんは220円払わなければならないという義務を負います。これを債務と言います。喫茶店はコーヒーを引き渡すという義務を負います。これも債務です」
生徒「なるほど」
講師「一方でお客さんはコーヒーを引き渡せという権利を得ます。これを債権と言います。喫茶店もお客さんに220円払えと言う債権を持ちます。このように日常で生じる無数の生活にかかわる契約に関するルールについて書かれたものが民法と言います」
生徒「なるほど、債権とか債務とか難しい言葉ですけど、つまり普段僕たちがなんとなく使っているのですね」
講師「そうです。私たちは知らない間に法律の中で生活しているんです。生活と法律は切り離せないんですね」
生徒「民法は契約に関するルールということですね。あれでも契約って契約書とか書かないといけないんじゃないですか?」
講師「いいところに気が付きましたね。実は契約書を交わさないと契約にならないという国もあるんですが、日本では契約書がなくても基本的な契約はきちんと成立するようになっています。これは176条に規定があるんです。民法は改正されましたので、2020年4月1日以降はよりわかりやすく522条2項にも契約に書面はいらないという規定があります」
生徒「176条ですか」
講師「六法の民法を探して、176条をあけてください。176条では当事者の意思表示のみで成立する、と書いてあるんですよ」
生徒「なるほど、わかりました。ところでもし、契約を破ったらどうなるんですか?」
講師「破ったらペナルティがあります。先ほどの例で言うと、例えば、喫茶店がコーヒーを持ってこない場合には、契約の解除ができますし、わざと持ってこない場合には損害賠償請求なんかも出来ます」
生徒「喫茶店で損害賠償請求ですか?」
講師「現実にはそこまでしないでしょうけど、法律上解除や損害賠償請求を認めているということです」
生徒「しないといけないんですか?」
講師「これは権利ですから、しなくてもいいです。お金と一緒ですよ。持っていたからといって使わなければならないわけではないしょう?」
生徒「なるほど、そうなんですね。じゃ今回は喫茶店がかわいそうだから言わないでおきます」
講師「随分上からですね。苦笑」
生徒「契約以外にも民法では何が書いているんですか?」
講師「他にも成人年齢は20歳ですよですとか、遺言書はこう書いてくださいとか、お部屋借りる時はこうしてくださいとか、保証人はこうしてくださいとか、そういう契約と人間関係について書いているのです」
生徒「なるほど、まさに民の法ですね」
講師「そうですね。では今日のおさらいです。民法とは日常の契約と身分関係についてのルールである。債権とは人に何かをしてくださいと言う権利、逆に何かをしないといけない義務を債務と言います。債権は行使しないといけないわけでなく選べるということです」
生徒「わかりました。では今日は喫茶店によって復習してから帰ります」
講師「注文したコーヒーが出てくるといいですね」
第2回に続く