記憶にございません。

本当に知らないのか、本当は知っているのか、
本当に忘れているのか、本当は覚えているのか、
はたまた気を失っているのか、

言葉自体に問題はないですが、この言葉からはいい思いはしないのはなぜでしょう。

それは遡ること数十年前の1976年(昭和51年)に開かれていた国会、衆議院予算委員会での、証人喚問されたある方の発言です。

証人喚問は国会で証言を求めるものです。
正当な理由なく出頭を拒めば罰を科されますし、
嘘をつけば偽証罪となる可能性もあります。

疑惑の追及を柳のごとくかわすため、明言をなるべく避けたい。
嘘を言えば、罪に問われる可能性がある。
何とか切り抜ける言葉はないだろうか。

そこで生まれた名言が「記憶にございません」です。

意図して発言したものなのか、本心から発言したものなのかはわかりませんが、この発言以降、政治家や責任ある立場の方がこの言葉を使い始めます。

また、当時流行語大賞というものはありませんでしたが、一般人もよく使っていたそうですから、年間大賞になっていたでしょうね。

もっとも、記憶にございませんと発言したとされている方は、

本当は
「記憶はございません」
「記憶がございません」と言っていたそうです。

記憶にございません、はシラを切っている感じがしていい印象ではないです。

「は」や「が」は言い切っている感がしていいですが、「に」は自分に都合のいいように考えている感じがして嫌ですね。

大野