著作権には大きく支分権という著作権そのものと著作者人格権という二つの権利があります。

この内著作権そのものについては様々な権利があるのですが(例えば、複製権、上映権など)、これらの権利は一括して又は小分けにして分割して第三者に売ったり貸したりできます(著作権法61条1項)。また二次的著作物についてもその権利を譲渡したり保留にしたり出来ます(法61条2項)。

ではもう一方の著作者人格権とはどのような性質の権利でしょうか。これは3つあり、公表権、氏名表示権、同一性保持権という権利になります。これらは譲渡できない権利とされているため、契約時には注意が必要となります(法59条)。

例えば、あるデザイナーさんが何かを絵を描いたとしてこれを売却したとします。この売却時に著作権も譲渡することになるのですが(保留にも出来ます)、著作者人格権は売却できないので、デザイナー側に権利が残るわけです。すると、公表権を行使して公表したくないと言えば公表出来ないわけですので、買った方は公表できないことになります。ですので、公表権は行使しないという契約をあらかじめ結んでおく必要があるということになります。

当事者間で著作物を売却する場合には基本的には自由なので、取り決めをきちんと決めておかなければ、思っていたのと違うなんてことになりかねません。

行政書士 西本