意思能力とは行為の結果を判断できる能力をいいます。
意思能力がない者が行った法律行為は無効となります。

これについては学説や判例では認められていたのですが、民法には規定がありませんでした。
改正された民法では明文化されています(3条の2)。

次に、行為能力とは単独で法律行為を確定的に有効にできる能力をいいます。
意思能力がない場合、その者が行った法律行為は無効となりますが、意思能力がなかったことを証明するのは無効を主張する側の者です。

しかし、「法律行為当時」に意思能力がなかったと主張するのは困難です。
そこで民法は、あらかじめ判断能力が不十分な者を一定の基準により判断し、類型化しています。
類型化したものに当てはまる者(例えば未成年者)が行った行為は「取り消すことができる」と定めておくことで保護を図っています。

両者は実質的に判断するか・形式的に判断するかに違いがあります。

意思能力は個別具体的に一つ一つの法律行為当時において、行為者の年齢や状況・行為の内容を「実質的に」みて判断します。

行為能力は制限行為能力者が行った行為が取り消すことができる行為に該当するかどうかを「形式的に」みて判断します。

大野