2020年4月1日以降では、長きにわたって存在していた危険負担、債権者主義が削除となる。

この規定は、例えば、中古車の売買(民法555条)契約があり、契約日と納車日が1週間ずれていたとする。

契約後、納車までの間に火災でその中古車が灰になってしまったとする。

その場合でも中古車の代金を買主は支払う義務があるというものである。

根拠としては、契約時に中古車の所有権が買主に移転していると考えられることがあげられる(民法176条)。つまり、所有権が移転しているため、その代金を支払うのは当然である、ということに根拠がある。

一見、一般契約社会において疑問のある規定ではあったが、これは任意規定であり、当事者間で外すことが出来る規定であったため特に大きな問題にはならなかった。

外すことがなかった場合には適用されることになるため法律を知らないと損をするという場面にはなっていた。

これが、危険負担、債権者主義である。改正後は債務者の責めに帰すことが出来ない自由で履行不能となった場合には、債権者は契約を解除できるということになる。

つまり、上記事例では買主は代金を支払う必要がないという結論になる。

西本