会社に財産引受けの代金を請求できない場合、例えば、定款に記載のない財産引受けは効力を有しないため、この場合相手方は成立後の会社に代金請求をすることができないです。

では相手方は発起人に対して代金請求をすることができるのか、という問題があります。発起人と会社の関係はまさに無権代理人と類似の関係と言えるので民法117条1項による責任追及ということになります。

発起人が財産引受けをした時点では本人である会社はいまだ成立していないから、無権代理行為の時点で本人が実在する場合の規定である民法117条を直接適用することはできません。もっとも代理権の存在に対する相手方の信頼を保護するという民法117条の趣旨は発起人が定款の記載なくして財産引受けを行った場合にも妥当しないのです。そこでこの場合には、民法117条の類推適用され相手方は発起人がすでに成立した会社の代表権限を有すると過失なく信じた時は発起人に対し履行を請求することができると考えます。

行政書士 西本