民法904条の3には以下のような規定がなされています。

(期間経過後の遺産の分割における相続分)

第904条の3前三条の規定は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

  1. 相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
  2. 相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

前3条とは、民法第903条(特別受益者の相続分)、民法第904条(特別受益者の相続分)、民法第904条の2(寄与分)を指します。

遺産分割は、特別受益や寄与分を踏まえて具体的相続分に沿って行われます。しかし、この条文があることにより、相続開始から10年が経過したときは、具体的相続分を主張することができなくなります。
つまり法定相続分によることになります。

これは、相続開始から長い時間が経過してしまうと、いろいろな書類が散逸することにより、他の相続人が請求されても困るという点があるため設けられた規定です。

大野