有償契約とは、当事者が互いに経済的な対価を支払う内容の契約を言います。売買契約、賃貸借契約、利息付消費貸借契約、雇用契約、請負契約、有償委任契約などがあげられます。

有償契約について知っておいてほしい条文として民法559条があります。

「この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」

民法559条は売買に関する規定がおかれているところに存在します。

ということは、この条文を読むと売買のところに規定があるものについて、他の有償契約にも準用される、ことになります(有償契約の性質が許さない場合にはその限りではありません)。

例えば、売買契約に関する規定のところに「契約不適合責任」(民法562条以下)があります。

契約不適合責任は請負契約を締結した場合にも生じ得ます。

ただ、請負契約に関する規定がおかれている場所には契約不適合責任に関する規定はありません。

では、なぜ契約不適合責任が生じうるのでしょうか。

そうです。民法559条により、有償契約には売買に関する規定が準用されるので、請負契約でも契約不適合責任が生じ得るのです。

重要な条文ですので、是非覚えておいてください。

大野