被告が訴訟係属前に死亡しているにもかかわらずそれを被告として死者を表示し訴えを提起した場合にはどのように処理すべきか。これは一切の訴状の表示を合理的に解釈して当事者を判断すべきですので、死者ということになります。

しかしこれでは当事者は死亡しているため存在しません。そこで被告がもし訴えた時点で死亡しているのであれば任意的当事者変更の手続きで当事者を変更します。また訴え提起後、訴訟係属(訴状の送達)前に死亡し相続人が訴訟追行しているような場合には民事訴訟法124条1項1号を類推適用し相続人を当事者とし得ます。こうすることで本訴訟には潜在的な訴訟係属が認められるし、相手方の既得の地位を保障する必要があります。

判決段階であれば、判決後であれば名宛人を欠く判決となりますので無効判決となります。なお判決の外形は存在しますので、上訴(312条2項4号)、再審(338条1項3号)によって判決を取り消すことも認めるべきとなります。

行政書士 西本