同一の訴えを何度もそれも違う裁判所に同一人物が提起することはできるのでしょうか?

まあ一種の嫌がらせではあります。これが認められると被告が手間ですし、なんだったら場合によっては判決がそれぞれ異なり矛盾判決なんてこともあり得ます。

そこで民事訴訟法142条ではこの重複する訴え(二重起訴)を禁止していて発見され次第訴訟要件がないということで却下判決となります。

では、微妙なラインの、これは二重起訴なの?みたいな場合にはこの判断どうやってするのかが問題となります。

例えば、田中さんが佐藤さんを相手に100万円の貸金返還請求訴訟を提起して、その裁判の中で佐藤さんは前から田中さんに貸していた100万円で相殺するという抗弁を出した場合で、この出している中、佐藤さんが別の裁判所で田中さんを相手に100万円の貸金返還請求訴訟を提起したようなケースですね。いわゆる相殺の抗弁の論点です。

要はやってることは同じようでも、最初の田中さんの訴えに対して佐藤さんが返す形で相殺を主張していることからこれも二重起訴と言えるのかという問題になります。

二重起訴が禁止される趣旨は、被告の応訴の煩わしさ、重複審理による訴訟不経済、および既判力の矛盾抵触の可能性を防ぐ点にあります。先ほど申し上げた話を難しく言うとこうなります。

相殺であっても、二つの訴訟がされたのなら例え抗弁で出されたとしても、被告は応訴しなければなりませんし、一方で相殺を認めもう一方で認めないなどという矛盾判決の可能性もあります。

そこで、直接的な適用はありませんが、142条を類推適用し、このような訴えは出来ないと考えます。よって後から佐藤さんが田中さんを訴えたとしても却下されることになります。

私は行政書士なので裁判はできませんが、興味があったので調べてみました。

行政書士 西本