コンプライアンスとは、法令遵守をいいます。
とはいっても、法令を遵守することは簡単なことではありません。
特に昨今はSNSにより誰でも簡単に意見を発信することができるようになりました。
企業のコンプライアンスについても、内部の人間(個人)が意見を発信することが容易となっています。
このことから企業経営におかれましては不正を防ぐことはもちろんですが、法令遵守は今まで以上に求められます。
そして法令遵守は社員一人一人が法律の基本的な考え方を学び、理解し法律に基づき行動することで、企業全体のコンプライアンスに繋がります。
当事務所は危機管理のスペシャリストとして中小企業、フリーランス、事業主の方に危機管理のアドバイス、事を未然に防ぐための計画、実際に問題が起こった場合の対処方法を計画し、企業内の危機管理を外部コンサルタントとしての立場から的確に把握し、被害を最小限に収めるため、法務面からサポートし、企業経営で常に気を配る必要があるコンプライアンスの研修を行っております。
社内研修の目的
社内研修の目的として、以下のことがあげられます。
- 事業内容の把握
- リスク対策
- スキルアップ(能力向上)
- 法令順守
社内研修は、基本として会社の実務で必要になる事業内容の把握、スキル・知識を社員に身につけてもらうことを目的としています。
しかし、それだけにはとどまりません。
スキルアップも大切ではありますが、リスクが発生する行動、リスクに対応する能力、そもそもコンプライアンスに適った行動をすることの重要性、など様々な法的知識、道徳、倫理も内容とし、会社内外で実践してもらうために社内研修を行うこともあります。
文明の発達により、機器の開発がなされ、重要なもの(メモリーカードやそこに含まれるデータ)を個人が簡単に管理、利用するようなことも可能となっています(業務の範囲内ではありますが、これに限らず、私的に利用する場合も後を絶ちません)から、情報流出・漏洩のリスクが高くなっています。リスクと対策に関する知識を学ぶことをも重要です。
さらには、パワハラ、セクハラ、アルハラなどの言葉が広く使われるようになってきており、それに対してしっかりと研修を行うことで、企業内から加害者と被害者が発生しないようにし、コンプライアンス(法令遵守:会社・企業が法律やルールを守って行動すること)について学ぶことも大切です。
社内研修は、「学ぶ、学習、受講」という面だけではありません。
社内研修を行うことで、様々な人(他部署の人や上司、先輩、後輩)と交流する機会にもなりますから、人材交流が活発し、社内の風通りがよくなる可能性があります。
社内研修は、各企業、会社によって適した内容はそれぞれ異なります。
何が求められているのか、それを身につけるために必要な研修は何かを考える必要があります。
社内研修は、会社・企業・社員・スタッフ・従業員にとって有益なものを行わなければ意味がありません。
社員に社内研修を受けてもらうことによって、スキル・知識を向上してもらい、会社に貢献してもらう。
人は財産ですから社員、スタッフに事業内容を把握してもらい、かつ、スキル・知識を身につけてもらうことは大変有益です。
社員・スタッフもスキルアップのうえ、会社に貢献できていると感じることができれば、満足度も高くなります。
満足度が高くなれば、社外での行動にも良い影響を与えることが考えられますから、ますます会社・企業にとっては有益なものとなります。
社内研修の内容
社内研修を実施する場面としては、階層ごと、年齢ごとに行われることが想定されます。
会社・企業には若手から中堅、ベテランまで様々な年齢の方が在籍していることが多く、それぞれの階層・年齢ごとに実施する研修を分ける、一堂に会して研修を行い、そこで交流が生まれ、事業に活かすということも考えられます。
- 新入社員向けの研修
- 若手社員向けの研修
- 中堅社員向けの研修
- 業務担当者に対する研修
- 管理職に対する研修
社内研修の内容は、各会社・企業によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあげられます。
- 基礎(ビジネスマナー)研修
- コンプライアンス研修
- 自己管理(セルフマネジメント)研修
- スキルアップ(ビジネススキル)研修
- クレーム対応研修
- 指導(コーチング、リーダー)育成研修
- 管理(マネージメント)研修
社内研修の設置
必要とされる社内研修の内容は、それぞれ会社・企業によってさまざまです。
そのため、組織の現状を把握・整理し、問題点・課題点を洗い出すことから始めます。
そこで明確となった問題点・課題点の克服に向けて何が必要であるかを考えます。
その一つの方法が「研修」です。
では、社内研修を設置することを決定した場合、次に研修の成果目標(教育目標)を設定します。
会社の人材としてどのような人が求められているのかを共有することが大切です。
すなわち、何のために研修が行われるのか(研修の重要性・研修を受けた結果、どのような課題が克服されるのか明確にしておく)を共通認識を持ってもらいます。
そのうえで、それぞれ必要な研修についての方法を具体的に決めます。
どのような方法であってもメリット・デメリットがありますから、会社の事情などに照らし合わせて決めることになります。
- 一回で終わるものなのか、数か月かけて行う必要があるのか
- 一堂に会して行うのか、個別で行うのか
- 対面か、オンラインか
- 外部から講師を招いてセミナーをしてもらうのか、現場で実践をする形式で行うのか
研修は受講させるだけでは効果は薄いです。
より効果的なものとするためには、研修終了後にも効果を持続、効果を最大限上げさせるために、研修、学習の内容についてフォローアップすることが大切となります。
研修を導入しても、そこが抜けてしまうと、研修の効果が仕事にうまく反映されません。
- 理解度テストを行う
- レポートを提出させる
- アンケートを行う
- 定期的に開催する
- 相談、質問窓口を設ける
☆社内研修設置の流れ
社内の課題を発見する(テーマを定める)
↓
その課題を克服する方法を共有する
↓
具体的に研修内容を立案し、決定する(プログラムを作成する)
↓
フォローアップ、分析も忘れずに
社内研修の方法
社内研修といっても、その方法は様々です。
会社・企業における研修方法は、大きく2つに分類することができます。
- 職場内研修(OJT研修)
On-the-Job-Trainingの略で、現場で実践を通じて業務スキル・知識を見つけてもらう方法です。
メリット
・実際に仕事をしているためスキルが身に着けやすく、実践に使いやすい
・現場で先輩や上司から教わるため、質問や回答、助言などフィードバックが受けやすい
・交流が盛んになる
デメリット
・実践の仕方、指導の仕方によっては得られる効果に差が出る可能性がある
・実践で学ぶことから、知識・スキルが体系的ではなく断片的になるおそれがある
・指導者は業務以外に時間を割くことになる - 職場外研修(OFF-JT研修)
Off-the-Job-Trainingの略で、現場を離れて研修などを行う方法です。
メリット
・現場を離れて、専門知識を身に着ける特別な講座を受講することから、体系的に学ぶことができる
・(現場の)指導者は業務以外に時間を割かれることがなくなる
・多くの人数でも一堂に会して学習することが可能(交流も盛んになる)
デメリット
・現場ではなく特別な場を設けて研修を行うため、場所などの費用が発生する(コストがかかる)
・座学が中心となるため、実践に反映できるかどうかは未知数
ojtとoff-jtについてご紹介させていただきましたが、2つを簡単に説明すると、ojtはアウトプット型研修、off-jtはインプット型研修ということが言えます。
両方ともメリット・デメリットがありますので、会社・企業に現在どのような研修が求められているのかを把握したうえで、どちらの研修方法を採用するのかを決めます。
とはいっても、どちらかにしなければならないわけではなく、ojtとoff-jtの両方を相互リンクさせたものであってもよいです。
off-jtで学んだ体系的な知識を、ojtで実践し、先輩や上司から助言をもらい、さらなるスキルアップを目指すという方法であってもよいわけです。
ITも進んでいますから、eラーニングを採用してもよいでしょう。
肝心なのは、社員・スタッフ・従業員の満足度を高め、かつ、会社に貢献してもらえるような人材を育成することです。
法務と社内研修
これまで、一般的な社内研修について述べてきましたが、法務に関連した社内研修の必要性についてご説明いたします。
その一つとして、コンプライアンス研修というものがあります。
会社を運営していくうえで、ビジネスを行ううえで、社員として働くうえで、法律を知っておかなければならない場面を多くあります。
法は社会生活においては強制力を持ったルールとなりえます。
強制力を持ったルールによって、不利な判定を受けたり、時には罰則、処罰される可能性があります。
法律を知らなかったということは、そのリスクを抱え込むことになります。
そのリスクを分散し、会社、従業員、その家族を守るためにも、会社の信用を落とさないようにするためにもルールを把握しておくことが大切です。
経済活動で適用されうる法律
以下、J-Net21のHPを参考に記載いたします。
- 会社の組織に関する法律
商法、会社法、商業登記法 - 会社の取引に関する法律
商法、民法、手形法、小切手法、利息制限法、借地借家法、不動産登記法 - 業種別の取引に関する法律
特定商取引法(通信販売等によって商品を販売する場合)
割賦販売法(商品代金を分割手受け取る場合)
宅地建物取引法(不動産業者)
建築基準法(建築業者)
食品衛生法(レストラン)
出資法、貸金業の規制等に関する法律(消費者金融業者)
製造物責任法(「PL法」製造業者) - 紛争解決のための法律
民事調停法、民事訴訟法、民事執行法、刑事訴訟法 - 人事、労務に関する法律
労働基準法、労働組合法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法
雇用保険法、職業安定法、健康保険法、厚生年金保険法 - その他
独占禁止法、不正競争防止法、不当景品類及び不当表示防止法、中小企業基本法
特許法、実用新案法、商標法、著作権法
法人税法、所得税法
ざっとあげても、多くの法律が存在しています。
ビジネスを行う上で、適用される法律をおさえ、最低限適用される内容(どのようなことが禁止されているのか等)を知っておく必要があります。
例えば・・・
例えば、以下のようなことが考えられます。
「セルフホワイトニング」や「エステ」
この場合、特定商取引法の適用(規制)があるのかどうかを知っておく必要があります。
セルフホワイトニングは特定商取引法の規制があるものとないものがあります。
特定商取引法の適用がある場合には、クーリングオフの告知をしなければなりませんし、解釈に伴う違約金を自由に定めることもできません。
また、役務提供者がお客様の口を見る、診療する行為はそれぞれの役割に応じ歯科医師または歯科衛生士、医師にのみ認められているため、無資格者が行うと法律に違反することになります。
美容を目的としたエステなど特定商取引法の適用がある場合、違約金を自由に定めたり、解約ができないような契約の内容を定めていた場合には法律違反になる場合があります。
サービスを提供する事業者は、適用される法律の内容を知っておく必要があります。
責任者が適用される法律を知っていたとしても、現場の社員やスタッフなどの従業員がそれを知らずにサービスを提供してしまった場合には、法律違反になりますから、現場に対する教育・研修を徹底して行う必要があります。
それがコンプライアンス研修です。
例題として挙げた、特定商取引法に関連するサービス(セルフホワイトニング、エステ)を提供するのであれば、
- クーリングオフ制度に関する説明、適用がない場合には不適用に関する説明
- 違約金に関する説明
- 医療行為に該当することはできないことの徹底周知(セルフホワイトニングの場合)
以上を、従業員に周知徹底しておくことが非常に重要となります。
当事務所では、社員・スタッフなどの従業員に対するこれらコンプライアンスの知識を習得していただくためのサポートも行っております。
契約書の作成、契約書の精査のご依頼を多く賜り、多くの質問をいただき、従業員様についても研修をすることは非常に大切である、と考えております。
お気軽にご相談ください。
その他の研修
1,企業内研修
①企業経営を行っていく上で必ず問題となる法務知識を企業内研修させていただき、社内で共有し、いざというときに各々が対処できるように致します。
ⅰ民法
契約、不法行為、責任論
ⅱ商法、会社法
企業責任、不法行為、株主対策に関する法務
ⅲ独占禁止法
商品の再譲渡の禁止、下請けの禁止、フランチャイズにおける販売価格の指定、独占状態の解消、他の会社の役員との兼任禁止の問題、優越的地位の濫用、公正取引委員会対応
ⅳ消費者契約法
クーリングオフ、契約が取り消される場合について
ⅴ特定商取引法
訪問販売でない業種でのクーリングオフ適用業務について
ⅵ割賦販売法
ⅶ著作権法
動画アップロードの際の著作権侵害となりうる事例について
侵害回避の方法について
著作権の制限について
著作隣接権、出版権、時効、差止め、損害賠償、ロイヤリティについて
ⅷ不正競争防止法
ⅸ下請法
ⅹ行政手続法
許認可の手続きの基本的な流れについて
2,危機を想定した社内整備しておくためのリスク管理スキーム策定
①不動産業、建築、建設業における欠陥不動産に対する対処
②メーカーによるリコールの判断、PL(製造物責任)法の講義
③権利侵害、不法行為に対する対処法
④刑法、刑事訴訟法にみる犯罪行為に当たる場合、当たらない場合の判断
⑤企業内の問題、事業継続における経営上の問題に対するもの
⑥パワーハラスメント(パワハラ)を始めとするハラスメント問題、人間関係の問題に対する従業員様の心理的負担軽減のためのマネジメント、カウンセリング
⑦事業売却時期、事業譲渡、M&Aのタイミングと売却先企業との契約法務(有利不利の判断指導)
⑧企業体質の改善、マーケティングの改善、売り出し方、営業手法の改善
実践的なものから、意識を変えるものまで、ご要望に応じて研修を実施させていただきます。
社内コンプライアンス研修なら当事務所へ
経営者様、個人事業主様は経営に関する業務に多くの時間を割いていただき、社員、スタッフなどの従業員に対する法務に関しての教育については当事務所が賜ります。
お気軽にご相談ください。