今回は改正民法415条2項(新規定)について論じる。

本条文は、従来は解釈で認められていたものを条文化したものとなるが条文を眺めていても少しわかりにくい。

これは適用場面を限定しているからに他ならない。

まず415条2項にはどのように書かれているかと言うと、要は「債権者が債務不履行による損害賠償請求をすることが出来る場合において履行不能等がある場合には、債務の履行に代わる損害賠償請求をすることができる」と言う趣旨が規定されている。

例えば、時計の賃貸借があったとしよう。賃貸借期限が切れ、返還のタイミングで借主がこれを紛失したようなケースがまさに典型といえるだろう。

この時に貸主は時計を返還せよという債権を持つため、債権者となり、他方、時計を元の状態で返すという債務を借主は持つため債務者となる。

この時に借主は債務を履行できない(なぜなら紛失しているから)。もちろん日常で言う「弁償」すればそれでも良いが、本条文はこの場合には価格で賠償ということを規定しているにすぎない。

これを条文に当てはめると、貸主は借主が貸した時計をなくしたことにより、損害が生じた。よて「損害賠償を請求できる」場面と言える。次に、損害賠償を請求できる上で、時計を変換できないのでここが「履行不能」となる。

よって「債務の履行に代わる」つまり借りた時計を元の状態で返すという債務の履行に代わる、損害賠償を請求できるということである。

西本