法律上の「物」とは?―民法における物の区別をわかりやすく解説
法律における「物の区別」とは、主に民法上の「物」(有体物)と、それ以外の無体物(電気、データなど)、そして「物」の中でも不動産と動産への分類を指し、所有権の対象となるか、登記や引き渡しが必要かなど、その後の法律関係で扱いが変わります。廃棄物処理法では産業廃棄物と一般廃棄物の区別が厳しく罰則を伴います。
1. 民法上の「物」の区別
- 物(もの): 民法第85条で「有体物(固体・液体・気体)」と定義され、物理的に存在するものを指します。
- 不動産: 土地とその定着物(建物など)。登記が必要。
- 動産: 不動産以外の有体物(自動車、家財など)。引き渡しが必要。
- 無体物: 電気、熱、光などは民法上「物」ではないが、他の法律(刑法での電気、著作権法での著作物など)で「物」として扱われることがあります。
2. 権利の客体としての区別
- 特定物: 当事者が個性を重視する物(例:土地、注文の品)。
- 不特定物: 他の物で代替可能な物(例:新車、一般的な商品)。
- 代替物と不代替物: 物の性質による区別(代替物:米、不代替物:美術品)。
3. 廃棄物に関する区別
- 産業廃棄物と一般廃棄物: 処理方法や責任が異なり、誤った処理は法律違反となり罰則の対象です(廃棄物処理法)。
法律の世界では、私たちが日常的に使っている「物(もの)」という言葉が、少し特別な意味を持ちます。
契約、相続、担保、所有権など、多くの法律関係は「物」を前提に成り立っているため、その区別を理解することは非常に重要です。
この記事では、民法における「物」の定義と、その代表的な区別について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
1.法律上の「物」とは何か
民法上の定義
民法85条は、次のように定めています。
民法85条
この法律において「物」とは、有体物をいう。
ここで重要なのは、「有体物」という点です。
有体物とは
- 形があり、空間を占めるもの
- 人が支配・管理できるもの
有体物の例
- 土地・建物
- 自動車
- 家具、衣類
- 現金
有体物に含まれないもの
- 電気
- 情報、データ
- 著作権や特許権(※これらは「物」ではなく「権利」)
※電気などは別途、法律上「物とみなす」とされる場合がありますが、原則として有体物ではありません。
2.不動産と動産の区別
不動産
民法86条1項では、不動産を次のように定義しています。
- 土地
- 土地に定着した物
不動産の例
- 土地
- 建物
- 立木(条件付き)
動産
不動産以外のすべての物が「動産」です。
動産の例
- 家具
- 車
- 商品
- 現金
なぜこの区別が重要?
- 所有権移転の方法が異なる
- 登記の要否が異なる
- 担保(抵当権・質権など)の仕組みが異なる
たとえば、土地や建物の所有権移転には「登記」が重要になりますが、動産は原則として引渡しで足ります。
3.主物と従物
主物とは
- それ自体で独立して利用できる物
従物とは
- 主物の常用に供される物
- 主物に付属し、経済的に一体として利用されるもの
例
- 建物(主物)とエアコン(従物)
- 土地(主物)と物置(従物)
法律上の効果
従物は、主物の処分に従う(民法87条)ため、
主物を売却すると、原則として従物も一緒に移転します。
4.元物と果実
元物
- 果実を生み出す物
果実の種類
民法では、果実を2つに分けています。
① 天然果実
- 物の使用によって得られる収益
- 例:果樹の実、家畜の子
② 法定果実
- 法律上の関係から生じる収益
- 例:賃料、利息
実務上のポイント
果実が「誰に帰属するか」は、
- 所有権
- 賃貸借
- 相続
などの場面で大きな問題になります。
5.可分物と不可分物
可分物
- 分けても価値や性質が変わらない物
例
- 現金
- 穀物
不可分物
- 分けると価値や性質が損なわれる物
例
- 建物
- 自動車
- 絵画
なぜ重要?
共有物の分割や相続の場面で、
- 現物分割が可能か
- 代償分割や換価分割になるか
といった判断に影響します。
6.物の区別を理解する意義
法律上の「物の区別」は、単なる分類ではありません。
- 契約の成立・効力
- 所有権の移転
- 担保権の設定
- 相続・遺産分割
といった場面で、結論を左右する重要な基準になります。
「これは動産か不動産か」「主物か従物か」といった判断を誤ると、思わぬトラブルにつながることもあります。
まとめ
- 民法上の「物」とは、有体物を指す
- 不動産・動産、主物・従物など、さまざまな区別がある
- それぞれの区別には、実務上・法律上の意味がある
法律問題に直面したとき、「物の性質」を正しく理解することが、解決への第一歩になります。
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大野