デューデリジェンス(略してDD)とは、株式売買、募集株式の引き受けなどの際、対象会社の内容を調査することです。
このデューデリジェンスを盛り込まない場合に何らかのリスクはないのかという問題です。
株式譲渡、出資など(以下、「M&A」という)対象会社の内容(財務、法務、ビジネス、IT、人事、労務、資産の価値等)が重要な取引においては、その契約書に対象会社に関する一定の事項の表明と保証を規定するのが一般的です。
企業買収においては買主側の義務ではなく権利であるとした判例(東京地裁平成18年1月17日、いわゆるアルコ事件)があります。
したがって買主側の方でDD実施をし、その範囲内で問題が見つけられなかった場合には買主側からの損害賠償請求は否定されることにもなります。
そこで、例えば、全株式を譲り受けて完全子会社にしたい会社がある場合に、連結にしても財務上の重要性がないからといって法務DDを省略するのはリスクが大きいと言わざる得ません。少なくとも以下の点は精査することをお勧めします。
対象会社の事業との関連性が不明確な契約、会社関係者との契約はどうなっているか。これを買収した場合に(つまり引継ぎだ場合に)、リスクがないか、ある場合には、それを払拭した内容でM&Aを実施するという内容の契約にしておくなど。
次に、チェンジオブコントロール(いわゆる、支配権変更条項)があった場合の処理についてです。例えば対象会社の支配権が変更した場合、他方当事者が契約を解除できるとしておくなどです。
さらに競業避止義務はどの程度まであるのかについても限度はありますが調査しておく必要があります。すでに終了した契約でも競業避止義務が一定期間明記されている場合もありますので十分注意が必要です。
西本