恩赦とは、裁判によって確定した刑罰を行政権の作用によって、その内容、効果を変更または消滅させることです。

恩赦は、憲法73条と7条に基づいて、内閣が決定し、天皇が承認するという過程を経ます。

国としては、恩赦の制度を「有罪判決を受けた人の更生の励みとなり、再犯抑止の効果も期待できるなど、犯罪のない安全な社会を維持するために重要な役割を果たしている」と考えています。

ただ、行政権による司法判断を修正するものであるため、乱用される危険性もあります。

恩赦の種類・内容については、恩赦法に5つ定められています。

  1. 大赦
    有罪判決を消滅させる
    有罪判決が出ていない(判決前)場合には、(検察官の)公訴権を消滅させる
    →政令によって、「罪の種類」を定める
  2. 特赦
    有罪判決を受けた特定の者(1人)に対して、有罪の言い渡しの効力を消滅させるもの
    →法務大臣や中央更生保護審査会の申し出があった特定の者に対して、行う
  3. 減刑
    刑を減刑する
  4. 刑の執行の免除
    刑の言い渡しを受けた特定の者に対して、その執行を免除する
  5. 復権
    有罪判決の確定により、失った・停止した資格を回復する

裁判も人の手で行われますから、誤審の可能性があります。そのため、その救済の道は残しておくべきです。
その一つとして、恩赦があります。
また、法律では救済できないような場合や社会の変化によって有罪としておくことがおかしいと考えられた場合などに使われたりします。

大野