考え方シリーズ第2回です。前回のブログでは譲渡担保のお話をしましたが、まだご覧になっていない方は、ホームページ上の検索から民法とか譲渡担保と打ってみて検索してみてください。

今回のお話は、特定物と不特定物です。

この違いですが、特定物が中古車、不特定物は新車と覚えてください。どういうことかといいますと、特定物というのは個性に着目したものという言い方をします。10万キロ走っているからだいぶ安くなっている、アウディみたいな感じでそのアウディは世界に一つしかないわけです。これを個性に着目したといいます。一方新車はアウディのある型がほしいなら、それは何でもいいですよね。店に行ったとき置いてあったものでなくても、いいですよね。

そのように個性には着目しないようなものを不特定物と言います。

ではなぜ分けるのか。何の意味があるのか。

これは売り主目線で見るとわかりやすいです。具体的には以下のような違いが出ます。

1.特定物には、目的物がなくなったり、渡せないくらい壊れた場合にはもう渡す義務がなくなり、後は損害賠償の話になる。

2.特定物は契約した時点で、所有権が買主に移る。

3. 2がある以上、買主が取りに来るまですごく丁寧に扱わないといけない(善管注意義務といいます)。

つまり、新車であれば、契約した段階では、まだ所有権が買主に移らないので、その日店にあったアウディがなくなった場合には売り主であるディーラーは再度同一の型を調達しに行かないといけないわけです。さらにまだ特定してないなら、所有権は売り主であるディーラー側にあるので、これを雑に扱っても問題ないわけです。

ところがこれがひとたび特定してしまうと、もうディーラーのものではないので、傷つけちゃったら弁償しないといけないのです。

では不特定物が特定するのはどのタイミングか。これは買主が、「今!」って言ったとき(債権者が同意した時といいます。民法401条2項後段)か、ディーラーが納車してくれるなら納車のため家に来た時(持参債務)、買主がディーラーに直接取りに来るなら(取り立て債務)、新車の山からディーラーが分けて(分離)、整備して(準備)、もういいよ取りにおいでと買主に言ったとき(通知)となります。もちろんテスト的にはこのように押さえればいいですが、実際には契約書で納車日なんか決めますから、その日が来たときに特定とはなります。つまりこれらの話は当事者間で契約で好きに変えることができるということです。

以上となります。イメージが大事です。このくらいのイメージがあれば、問題を解いて解説見てもなんとか意味が分かるのではないでしょうか?

それではまた次回のブログでお会いしましょう。

行政書士 西本