新民法では、解除の位置づけが旧法とは異なります。解除は契約からの離脱を意味していて、従来必要だった相手方の責めに帰すべき事由は不要となります。但し自分に責めに帰すべき事由がある場合には自分発信の解除は出来ません(民法543条)。もちろんこれとは別に解除するためには相手方の責めに帰すべき事由が必要という契約を結ぶこと自体は約定解除として有効です。

それではよく解除を設定する上で規定される文言を順を追ってご説明します。

1,「本契約又は個別契約に違反し、相当の期間を定めて催告したにもかかわらずこれを是正しないとき」

継続的契約では契約を続行することを当事者が望んでいるので契約の本質的な部分以外の軽微な違反があった場合には、催告を必要とした解除とし、重大な違反の場合には無催告解除特約も認めるとした方が、公平の原理から望ましいでしょう。

2,「約定の期間内に個別契約を履行する見込みがないと認められるとき」

この場合には客観的に見て、または業界においてそれはもう契約の履行は考えにくいといった場合には無催告解除としても問題はありません。例えば、納品期日1か月としている所を倍の2か月経過しても全く音沙汰もない場合はまさにこれに当たるでしょう。

3,「仮差押、差押、強制執行などがあった場合またはその恐れがある場合」

この場合は信用の問題なので、業務内容との兼ね合いで吟味する必要はありますが、差押にあっている場合、契約の履行どころではない、または業務によっては制限を受ける場合もあり(銀行取引が停止されているなど)、無催告解除としても差し支えない場合にはなりえるでしょう。これについては、重要な事業の停止、廃止、譲渡又は解散の場合にも当てはまります。

4,「重大な契約違反があった場合」

これは何をもって重大な契約違反となるかを明記しておくのが望ましいでしょう。しかし、契約や本業務の内容から推察できることから、明記しなくてもそこまで問題にはなりません。しかし、無催告解除とするのは少々危険と考えます。この重大な契約違反というのはそれをされた方の主観に頼る側面が強いからです。

西本