リスクヘッジとは

リスクヘッジとは、リスク(危険)とヘッジ(回避)が合体した英語の用語です。

もともと金融取引において投資(株などの投資)の分散をしておくことでリスクを回避を図ろうとしていたことから、使われていた言葉です。

そんなリスクヘッジという言葉ですが、現在では金融取引にかかわらず使用されています。

現在はどんな意味で使われているか

リスクヘッジの意味は、発生しうる問題(危険)についてあらかじめ策を講じておくことをいいます。

リスクヘッジの使い方については以下のように考えられます。
問題(危険)の回避ばかりがクローズアップされがちですが、「事業が上手くいかなかった」場合に対応できるよう策を講じておくこともリスクヘッジとなります。

すなわち、ビジネス的には予測しうる問題(危険)全般がリスクで、その影響を最小限に減らす対策や手段を講じておくことがヘッジという意味になります。

リスクマネジメントとの違い

あらかじめ想定されるリスクに対して、そのリスクを回避する措置を講じることがリスクヘッジです。

似たような言葉として、リスクマネジメントという言葉があります。

何か違いがあるのでしょうか。

リスクマネジメントは、企業活動を行う上で、発生している・しうるリスクに対して対策を用意し、実際に発生した際には的確に措置を取り、影響を最低限にすることを意味します。

両者は似ていますが、少し違います。

  • リスクヘッジは、現時点で発生していない将来のリスクに対しての回避措置
  • リスクマネジメントは、実際に起こった、起こりうるリスクに対して適切な措置を取ること

どちらも発生したリスクに対しての適切な措置を取ることについての考えであることは共通しています。

クライシスマネジメント

クライシスとは重大な局面を意味します。

経済上の危機、会社の存亡の危機等、リカバリーの可能性が低いような重要な局面で利用される言葉です。

リスクとクライシス、ともに危機・危険という意味合いがありますが、クライシスの方が局面的につらい場合に利用されます。

コロナにより会社経営の危機に陥っているということはニュースで会社の倒産数・営業不振を聞いていれば想像に難くありません。

そんな中で思い切った行動をとることはどうしても難しい。
しかし、行動をとらなければジリ貧となる。

発生してしまったリスク・危機において、(機能不全となることを覚悟の上で)思い切った行動を(リスク回避行動)することをクライシスマネジメントといいます。

  • リスクマネジメントは、発生したリスクを事前に用意していた回避策を用いて優先度の高いものから処理していくこと
  • クライシスマネジメントは、用意していた回避策では対応できないことを、対応していくこと

行政書士とリスクヘッジ

行政書士は予防法務の専門家です。

現在、多くの中小企業、実業家の皆様におかれましては、コロナにより事業継続の観点から事業の方向転換または新規事業に着手されていることかと思います。

新規事業には必ずといっていい程、行政の許認可申請が必要となります。
事業計画を進めて、人材を登用し、多額の費用を投資した後に許認可申請が通らず、事業計画がとん挫してしまうと、もはや立ち直れないかもしれません。

また、資金繰りに困っていた場合には補助金、助成金を利用することもあるかと思います。
その申請に時間をかけてしまうと、資金が枯渇し、新たなビジネス構想を打ち立てることもできず、企業の存続すら危ぶまれます。

経営のプロフェッショナルである皆様におかれましては、良いアイディアを実行に移す行動力があります。
その行動を止めないためにも、行政の許認可が必要か否か、今の会社規模、状況でその事業を進めてよいかという判断を御社の事業計画に加えてほしいと考えております。

事業リスクとは

では、どんな事業リスクが想定できるのでしょうか。

事業リスクは事業を運営するうえで必ず存在します。

海外に事業を進出させる。事業を拡大させるなどといった、従業員を雇用して仕事をさせる場合、リスクがゼロということは考えられません。

ではどんな事業リスクが想定できるのか

一例ではございますが、一般的に考えられる法律に関する事業リスクをご紹介いたします。

事業リスクの例

  1. 製造物を扱う業者の場合にはPL法(製造物責任法)による責任を負う場合があります。
    PL法(製造物責任法)においては、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について規定しています。つまりある製造物から被害が出た場合には原則製造業者がその賠償をすることになっています。例外に位置する免責のための方法構築を御社の業務内容に即して行います。
  2. 従業員、役員の不法行為に対する使用者責任の回避
    軽減事由の設定 →ある事業のために他人を使用する者であれば、個人事業主であっても被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(使用者責任、民法715条)。
    株式会社であれば、役員等の責任が別途規定されています(会社法423条1項、429条1項)。
    民法上は、使用者責任の回避の方法は、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときと証明することです。 これについては、業種によって管理監督の程度や種類は様々です。
    ただ少なくともその管理監督をしたことを事前にリスト化しておくと有利には働きます。
  3. 独占禁止法においては、再販売の禁止規定や、健全な競争を妨げる行為について罰則を設けています。
  4. 下請け企業との関係
    業務の再委託をされる際に下請け企業の業務内容に過度に手を加えてしまうことに違反とされることがあります。
  5. 著作権法を始め知的財産権に関する法律
    御社の持つ著作権などの権利を無断使用された際に打てる手段、どのような場合に著作権法違反になるのか。
    これについては刑事罰もあります。

リスクヘッジ・マネジメントの重要性

ビジネスを行う上で、想定される事業に関するリスクについては、①事前に対策を講じる・②起こってしまったリスクについては用意していたマニュアル(対応策)に従って、リスクを処理することができるようにしておくことが非常に重要です。

ビジネスシーンごとにこの2点がしっかりとできている企業であれば、発生した影響を最小限にとどめることができます。

リスクヘッジであれば、どのような措置を講じておく必要があるのか、現在必要な行動は何かを明確にし、それを確実に実行すること。

リスクマネジメントであれば、発生したリスクに対応できるよう、しっかりとリスクを想定したマニュアル(対応策)を作成しておくこと、作成したマニュアルを周知させ、適切に実行できるようにしておくこと。

そのうえで、経済活動を行っていると、ビジネス上発生しうるリスクに対応でき、収益を上げる活動、利益を確保する活動に専念できます。

全てとまではいきませんが、発生したリスク(損失)が最小限なものとして、リカバリーがしやすくなります。

リスクの発生について備えること(リスク管理)は、それほどまでに重要なのです。

誰が行うべきか

リスクヘッジを誰が行うべきか、構築すべきか、という点については、それぞれ異なります。

トップ(経営者)の方が行うべき場合もありますし、専属部署を設けて行うべき場合もあります。
専門家に任せるという場合もあります。

専門家に任せた場合、トップの方や従業員の方は仕事に専念できるというメリットがあり、また、外部の人間ですから専門家が有している情報と企業が持つ情報を融合させて、その会社に適したリスクヘッジができるという点は非常に大きいと考えられます。

そのような点から、専門家を利用することで企業のリスクヘッジ体制の強化にもつながります。

リスクテイクでも同じ

リスクテイク(リスクを覚悟の上で行動)をする場合であっても、リスクについて把握し・準備をすることが重要です。

リスクを知って行動をするのと、知らずに行動する(ハイリスクなのローリスクなのか、リターンはどうなのか)のでは与える影響の程度に大きな差が生まれるためです。

ヘッジ・マネジメント能力を高める

では、リスクヘッジ・マネジメント能力高めるためにはどうすればよいのか。

この策を講じます、こんなマニュアルを作成しました、と形だけの策をとっても意味がありません。
実際に役に立つものである必要があります。

すなわち、あらゆる場面を予測・想定し、それに合った対応策を講じる・用意しておかなければなりません。

どのようにして能力を高めるのか(スキルアップするべきか)。

  1. PDCAを習慣づける
    計画し実行する、その効果・結果を評価し、改善する、という作業を習慣づけることが大切です。
  2. 多方面にアンテナを張る
    リスクを想定するためには、あらゆる方面に対してアンテナを張っておく必要があります。多角的視点に立つ必要があります。
  3. 論理的に考える
    AだからB、BだからCなど物事を整理し、それが論理的にできるようになれば、結果と原因の関係性を整理できるようになり、今後発生することが予想されるリスクについても考えられるようになります。

事業リスク診断

弊社では、経営者、事業家の皆様の頭の中の素晴らしいアイディアを実現可能なものにすべく、以下の点を重点的にアドバイスいたします。

  1. 今の状況で修正すべきポイント
  2. 法規制はどのようなものがあるのか
  3. 資本は足りるのか
  4. 数年後(1年後、3年後、さらには10年後)を見据えて採算が取れるのか

現時点では何も問題が発生していなかったとしても、今後何が起こるかわかりません。
コロナにより経済が疲弊するなど数年前に誰が予想していたでしょうか。

コロナは特殊事例ではありますが、現時点で採りうる手法でリスクヘッジを考えることは、企業活動をするうえで、非常に重要です。

行政許認可で必要なものは取得し、更新が必要なものは把握しておく、さらに権利義務関係で必要な法律を洗い出し、スムーズに御社の事業が軌道に乗るように助言、支援させていただきます。

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