証券会社でなくとも、証券会社から業務の委託を受けることにより、有価証券の勧誘や売買の仲介を行うことができる制度をご存じでしょうか。

金融商品仲介業(証券仲介業)制度といいます。

金融商品取引法により、証券会社以外の法人・個人が証券会社等から委託を受け、有価証券売買の仲介等(金融商品取引法第2条第11項)を行うことができるようになっています。

※金融商品取引法第2条第11項
11 この法律において「金融商品仲介業」とは、金融商品取引業者(第28条第1項に規定する第一種金融商品取引業又は同条第4項に規定する投資運用業を行う者に限る。)又は登録金融機関(第33条の2の登録を受けた銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関をいう。以下同じ。)の委託を受けて、次に掲げる行為(同項に規定する投資運用業を行う者が行う第4号に掲げる行為を除く。)のいずれかを当該金融商品取引業者又は登録金融機関のために行う業務を言う。
 一 有価証券の売買の媒介(第8項第10号に掲げるものを除く。)
 二 第8項第3号に規定する媒介
 三 第8項第9号に掲げる行為
 四 第8項第13号に規定する媒介

12 この法律において「金融商品仲介業者」とは、第66条の規定により内閣総理大臣の登録を受けたものをいう。

※第2条第11項第2号
 取引所金融市場における誘拐証券の売買・市場デリバティブ取引又は外国市場デリバティブ取引の委託の媒介

※第2条第11項第3号
 有価証券の募集若しくは売り出しの取扱い又は私募の取扱い

※第2条第11項第4号
 投資顧問契約又は投資一任契約の締結の媒介

投資について検討をしている様子

金融商品仲介業者とは

証券会社以外の法人・個人が証券会社等から委託を受け、有価証券売買の仲介等を行うことです。

金融商品仲介業者は、取引の勧誘や仲介のみを行うため、金融商品の契約の当事者とはなりません。
金融商品を購入する顧客は証券会社等と契約をすることになります。

すなわち金融商品の販売を行う代理店制度みたいなものです。

保険の代理店業に似たようなものです。

金融商品仲介業者はどこかの証券会社に属していないため(証券会社等が取り扱っている商品について仲介することを業務委託されているだけです)、中立的な立場で資産運用のアドバイスを行うことになります。

なぜこの制度ができたのかは、貯蓄から投資へという国の方針を実現するためであるといわれています。

国民に投資を促すために、金融商品の販売窓口を拡大する必要があるため、代理店に似た制度を設けたのです。

仲介者として話を聞いている様子

金融商品仲介業をはじめる

金融商品仲介業を始めるには、大きく2通りあります。

①金融商品仲介業者に所属する
 コンサルタント等を募っている金融商品仲介業者に応募し、仲介業者、外務員登録を行う証券会社の面接などの審査を受け、合格をすると契約を締結し、業務を開始する場合。

②金融商品仲介業者を設立する(法人設立)
 業務委託を希望する金融商品取引業者と面談後、審査に合格した後に金融商品仲介業業務委託契約をを締結し、仲介業登録申請、証券会社を通じて外務員登録をするし、業務を開始する場合。

  1. 業務委託を受ける証券会社を選択して契約を交わす
  2. 登録に必要な書類を管轄の財務局長に提出し、内閣総理大臣に登録する
  3. 金融商品仲介業務従事者を日本証券業協会に登録する(外務員登録)
  4. 業務開始

金融商品仲介業の登録

金融商品仲介業を始めるためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

金融商品取引法第66条
銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者(第一種金融商品取引業(第28条第1項に規定する第一種金融商品取引業を言う。以下この章において同じ。)を行う者及び登録金融機関の役員及び使用人を除く。)は、第29条の規定にかかわらず、内閣総理大臣の登録を受けて、金融商品仲介業を行うことができる。

この登録には、拒否事項があります(金融取引法第66条の4)

  1. 登録申請者が個人であるときは、第29条の4第1項第2号イ~リまでのいずれかに該当する者
  2. 登録申請者が法人であるときは、次のいずれかに該当する者
    ・第29条の4第1項第1号イ~ハまでのいずれかに該当する者
    ・役員のうち第29条の4第1項第2号イ~リ前dのいずれかに該当する者のある者
  3. 他に行っている事業が公益に反すると認められる者
  4. 金融商品仲介業を的確に遂行することができる知識及び経験を有しないと認められる者
  5. 登録申請者の所属金融商品取引業者等のいずれかが協会(認可金融商品取引業協会又は第78条第1項に規定する認定金融商品取引業協会をいう。)に加入していない者
ヒアリングを行う会議室

登録申請の必要書類

金融商品仲介業の登録を受けるための必要書類は以下となります(金融商品取引法第66条の2)。

  1. 金融商品仲介業登録申請書
  2. 第66条の4第1号又は第2号に該当しないことを誓約する書面
  3. 金融商品仲介業の業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した書類
    ・所属金融商品取引業者等との間の金融仲介業にかかる業務の委託契約にかかる契約書の写し
    ・金融商品取引業等に関する内閣府令第258条第3号に掲げる事項にかかる契約書の写し

    ☆法人の場合
    イ役員の履歴書(役員が法人であるときは、当該役員の沿革を記載した書面)
    ロ役員の住民票の抄本(役員が法人であるときは、当該役員の登記事項証明書)又はこれに代わる書面
    ハ役員の旧氏及び名を当該役員の氏名に併せて法第66条の2第1項の登録申請書に記載した場合において、ロに掲げる書類が当該役員の旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面
    二役員が法第29条の4第1項第2号ロに該当しない旨の官公署の証明書又はこれに代わる書面
    ホ役員が法第29条の4第1項第2号イ又はハからリまでのいずれにも該当しないものであることを当該役員が誓約する書面

    ☆個人の場合
    イ履歴書
    ロ住民票の抄本又はこれに代わる書面
    ハ旧氏及び名を、氏名に併せて法第66条の2第1項の登録申請書に記載した場合において、ロに掲げる書類が当該旧氏及び名を証するものでないときは、当該旧氏及び名を証する書面
    二法第29条の4第1項第2号ロに該当しない旨の官公署の証明書又はこれに代わる書面

  4. 法人であるときは、定款及び会社の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む)
  5. その他内閣府令で定める書類

外務員の登録

外務員とは金融商品取引業者等(証券会社や銀行など)のために顧客の勧誘等を行う者を言います。

勧誘員、販売員、外交員その他いかなる名称を有するものであるかを問いません。

日本証券業協会に加入している証券会社や登録金融機関等(協会員)は、その役員又は従業員に外務員の職務を行わせる場合は、日本証券業協会に備える外務員登録原簿に登録を受けなければならない。(日本証券業協会HP) https://www.jsda.or.jp/about/jishukisei/words/0051.html

業務合意をした様子