6月下旬になると株主総会関連のニュースが多くなる理由は何か。
その理由の1つとして考えられるのが、事業年度の終了時期と会社法の条文です。
多くの会社が4月1日から3月31日を事業年度としていることが多く、事業年度終了後一定の時期に株主総会を開くことが求められます。
つまり、4月以降に定時株主総会を開くことになるのです。
そして、会社法は「基準日株主」という制度を設けています。
基準日とは、議決権の行使または配当を受けるべき者等株主としての権利を行使すべき者を定めるための一定の日のことを言います(会社法124条1項)。
この基準日に株主名簿に記載されている株主が権利を行使することができるのです。
これを定時株主総会に当てはめると、事業年度の最終日である3月31日を基準日と設定し、この日に株主名簿に記載されている株主を「基準日株主」として株主総会において議決権を行使できるものを定めるのです。
そして、権利行使者を定めたことから、次に株主総会の開催の手続きに入るのです。
もっとも、基準日株主の株主名簿の効力は3か月以内とされている(会社法124条2項)ことから、株主総会の開催も3か月以内に開かれるように運用されているようです。
事業年度の終了後から3か月以内に定時株主総会を開けばよいことがわかりましたが、6月に開く理由は何でしょう。
これは準備の問題ですね。
株主総会は株式会社の最高意思決定機関であり、会社の事業年度の報告などを行い、株主に納得してもらう必要があります。
そのため、書類の数は膨大となり、整理し、株主にも配布しなければなりません。
会計に関してはプロにチェックしてもらう必要も出てきます。
準備にものすごく時間がかかってしまうのです。
そのうえ、会場を抑えたり、株主に招集通知を送付したり、株主を出迎える準備もしなければなりません。
これに1~2か月ぐらいかかるようです。
したがって、株主総会が6月下旬になることが多いようです。
大野