契約書作成は個人でも必要?自分で作るときに確認したいポイント
「契約書は会社が作るもの」と思っていないでしょうか。
実際には、個人同士の取引でも契約書を作成する場面は少なくありません。
たとえば、個人で仕事を請け負う場合、知人にお金を貸す場合、個人間で物やサービスを継続的にやり取りする場合などです。
口約束でも契約自体は成立することがありますが、後になって「そんな約束はしていない」「そこまでやるとは聞いていない」といった問題が起こると、話し合った内容を確認することが難しくなります。
そこで役に立つのが契約書です。
個人でも契約書を作る場面はある
契約書は、会社同士の取引だけに必要なものではありません。
個人でも、次のような場面で契約書を作成することがあります。
- 個人で仕事を請け負う
- フリーランスとして業務を受ける
- 知人や友人にお金を貸す
- 個人間で物品を売買する
- 写真・動画・デザインなどの制作を依頼する
- ホームページやシステム制作を依頼する
- 継続的に商品やサービスを提供する
- 個人間で業務を委託する
- 秘密保持について取り決める
- 共同で事業やプロジェクトを行う
このような場合、取引の内容を契約書にしておくことで、後から条件を確認しやすくなります。
特に、金額が大きい取引や、長期間続く取引、相手との関係が変化する可能性がある取引では、最初に条件を整理しておくことが重要です。
「契約書を作る」とは、文章を書くことだけではない
契約書を作成するとき、「契約書のひな形を探して、空欄を埋めればいい」と考える方もいるかもしれません。
もちろん、簡単な取引であれば、それで対応できる場合もあります。
しかし、実際の取引では、ひな形にそのまま当てはめられないことがあります。
たとえば、
「仕事を依頼する」
というだけでも、
- 具体的に何をしてもらうのか
- いつまでに納品するのか
- 報酬はいくらなのか
- いつ支払うのか
- 追加作業が発生したらどうするのか
- やり直しが必要になった場合はどうするのか
- 契約を途中で終了できるのか
- 成果物をどのように利用できるのか
など、決めておきたいことが出てきます。
つまり、契約書作成では、文章を書く前に「実際には何を約束するのか」を整理する作業が必要になります。
個人で契約書を作るときに確認したいこと
契約書を作成する際には、少なくとも次のような点を確認しておきたいところです。
1.誰と誰との契約なのか
まずは契約当事者を明確にします。
個人の場合は氏名や住所などを記載することになります。
相手が個人事業主の場合には、屋号だけではなく、誰が契約当事者なのかも確認しておきましょう。
2.何についての契約なのか
契約の目的や対象をできるだけ具体的にします。
「業務を依頼する」だけでは、実際に何をする契約なのか分かりにくいことがあります。
業務委託であれば、具体的な業務内容や納品物などを整理しておくことが大切です。
3.お金はいくらなのか
報酬や代金についても明確にします。
単に「○万円」とするだけではなく、
- 消費税を含むのか
- 支払日はいつなのか
- 振込手数料はどちらが負担するのか
- 追加料金が発生する場合はどうするのか
など、取引の内容に応じて確認します。
4.いつまでに何をするのか
納期や契約期間なども重要です。
「できるだけ早く」「必要に応じて」といった表現では、当事者によって受け取り方が変わる可能性があります。
必要に応じて、期限や条件を具体化します。
5.契約後に問題が起きた場合をどうするのか
契約を結ぶときは、順調に進むことを前提に考えがちです。
しかし、実際には、
「納品が遅れたらどうするのか」
「代金が支払われなかったらどうするのか」
「途中でやめたいと言われたらどうするのか」
などの問題が起こることがあります。
すべての可能性を契約書に書く必要はありませんが、取引の性質上、問題になりそうな部分については事前に決めておくことができます。
ネットで見つけたひな形をそのまま使ってもいい?
契約書のひな形はインターネット上にもたくさんあります。
そのため、「自分の取引に近いものを探して、そのまま使えばいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
ひな形を参考にすること自体は一つの方法です。
ただし、注意したいのは、ひな形と実際の取引が完全に同じとは限らないということです。
たとえば、ひな形には書かれていない条件を当事者間で話し合っていたり、逆に、ひな形に書かれている条件が今回の取引には合わなかったりすることがあります。
契約書は、文章として整っていることだけでなく、実際に合意した内容がきちんと反映されていることが重要です。
個人で作った契約書でも大丈夫?
「個人が自分で作った契約書では、正式な契約書にならないのでは?」
という疑問を持つ方もいます。
しかし、契約書を作成する人が会社や専門家でなければならないわけではありません。
大切なのは、誰が作ったかだけではなく、当事者間でどのような内容を合意したのかが分かることです。
ただし、契約の内容によっては法律上の規制が関係する場合があります。
また、契約書に書かれている内容が曖昧だったり、当事者間の認識と実際の条項がずれていたりすると、後になって問題になる可能性があります。
そのため、重要な契約ほど「とりあえずひな形を埋める」という作り方ではなく、取引そのものを整理してから契約書にすることが大切です。
「個人だから契約書はいらない」とは限らない
個人同士の取引では、相手との関係が近いほど、
「お互い分かっているから大丈夫」
「知り合いだから契約書までは必要ない」
と考えてしまうことがあります。
しかし、契約書は相手を信用していないから作るものとは限りません。
むしろ、お互いの認識をそろえておくためのものと考えることもできます。
そのときは問題なくても、数か月後、数年後には当時の話し合いを細かく覚えていないこともあります。
「あのとき何を決めたのか」を確認できるものが残っていれば、認識の違いを小さくすることにつながります。
自分で作るか、契約書作成を依頼するか
簡単な取引であれば、自分で契約書を作成することもできます。
一方で、
「ひな形は見つけたけれど、自分の取引に合っているか分からない」
「話し合った内容をどう契約書にすればいいか分からない」
「相手と決めた条件が多く、うまく整理できない」
という場合は、契約書を作る前の段階で一度内容を整理してみるとよいでしょう。
契約書作成で大切なのは、きれいな文章を作ることだけではありません。
実際の取引内容を整理し、必要な条件を確認し、それを契約書という形に落とし込むこと。
この順番で考えると、自分で作る場合にも、専門家に依頼する場合にも、何を契約書に入れるべきなのかが見えやすくなります。
個人の契約書作成で迷ったら
「契約書が必要なのは分かった。でも、何を書けばいいのか分からない」
そんな場合は、まず今回の取引で、
誰が・誰に・何をして・いくら支払い・いつまでに・どのような条件で終えるのか
を一つずつ整理してみてください。
そこから契約書に必要な項目を考えていくと、ひな形をそのまま使うよりも、自分の取引に合った契約書を作りやすくなります。
個人であっても、契約書は「会社が使う特別な書類」ではありません。
これから行う取引について、お互いの約束を後から確認できる形にしておくための書面です。
大切なのは、契約書の形を先に決めることではなく、まず実際の約束を整理することです。
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感情や立場の違いが関わる問題は、早めに整理しておくことで 将来のトラブルを防げる場合があります。
大野