契約書をなくしてしまったらどうする?まず確認したいことと対処法

「契約書をどこにしまったか分からない」

「大事な契約書をなくしてしまった」

契約書は普段それほど頻繁に取り出すものではないため、いざ必要になったときに見つからないことがあります。

では、契約書をなくしてしまったら、契約自体も無効になってしまうのでしょうか。

結論からいうと、契約書を紛失したことと、契約そのものがなくなることは別の問題です。

ただし、契約内容を確認できなくなれば、「何を約束したのか」「いつまでの契約なのか」「代金はいくらなのか」といった重要な事項を確認できなくなってしまいます。

そのため、契約書をなくしたことに気づいたら、慌てて新しい契約書を作るのではなく、まずは契約内容を確認できる資料を探すことが大切です。

目次

1.まずは本当に「契約書がない」のか確認する

最初に確認したいのは、契約書そのものだけではありません。

次のような場所やデータを確認してみましょう。

  • 契約書を保管しているファイル
  • 会社の書類保管場所
  • スキャンしたPDF
  • パソコンや社内サーバー
  • クラウドストレージ
  • メールの添付ファイル
  • 電子契約サービス
  • 相手方とのメールやチャット
  • 契約書を作成した行政書士・専門家など

紙の契約書をなくしていても、スキャンデータやメールの添付ファイルが残っているケースがあります。

また、電子契約の場合は、そもそも紙の「原本」を保管しているわけではありません。

電子契約では、契約書のPDFなどの電子データが契約内容を確認する重要な資料となります。法務省の資料でも、電子契約書のように最初から電子データとして存在するものについて、その電子データが原本となる場合があることが説明されています。

2.相手方が契約書を持っていないか確認する

自分の手元から契約書がなくなっていても、契約相手が保管している可能性があります。

たとえば、

「こちらで契約書を紛失してしまったため、保管されている写しをいただけますか」

と相手方に確認してみましょう。

契約書を双方で作成している場合、相手方が同じ契約書を保管していることは珍しくありません。

相手方から写しを受け取ることができれば、まずは契約内容を確認できます。

ただし、「写しが手に入ったから、それで何でも問題ない」と考えるのは少し危険です。

たとえば、提出先から「契約書の原本を提出してください」と求められている場合などは、単なるコピーでは足りない可能性があります。

何のために契約書が必要なのかによって、必要な対応は変わります。

3.契約書をなくしたからといって、すぐに作り直さない

ここは特に注意したいところです。

契約書をなくした場合、

「もう一度同じ契約書を作ればいい」

と考える方もいるかもしれません。

しかし、安易に新しい契約書を作成するのはおすすめできません。

なぜなら、最初に契約したときと現在とで、契約条件が変わっている可能性があるからです。

たとえば、

  • 契約期間が延長されている
  • 料金が変更されている
  • 支払方法が変更されている
  • 業務内容が追加されている
  • 契約解除について合意がされている
  • メールなどで契約内容を一部変更している

といったことがあります。

最初の契約書だけを見て新しい契約書を作ってしまうと、現在の合意内容と違う書面ができてしまう可能性があります。

したがって、契約書をなくした場合は、「元の契約書を復元する」ことだけを考えるのではなく、その後に契約条件が変更されていないかまで確認することが重要です。

4.契約内容を確認できる資料を集める

契約書が見つからない場合には、契約書以外の資料も確認してみましょう。

たとえば、

  • 見積書
  • 発注書
  • 請求書
  • 領収書
  • メール
  • チャット
  • 議事録
  • 業務の仕様書
  • 契約変更に関する書面
  • 相手方とのやり取り

などです。

これらを確認することで、契約書に書かれていた内容や、その後に変更された条件を整理できる場合があります。

特に長期間にわたって取引している場合は、契約書を作成した時点から現在までの経緯を確認することが重要です。

5.「契約書がない」と「契約がない」は同じではない

契約書を紛失したときに、一番不安になるのが、

「契約書がないなら、契約も成立していないのでは?」

ということではないでしょうか。

しかし、契約書が手元にないことと、契約が成立しているかどうかは別の問題です。

契約書は、当事者間でどのような合意をしたのかを確認するための重要な書面ですが、契約書を紛失したという一事だけで、それまでの契約関係が当然になくなるわけではありません。

一方で、契約内容を証明する資料がなくなると、後になって条件について争いになったときに困る可能性があります。

だからこそ、契約書をなくしたときは「契約がなくなった」と考えるのではなく、「契約内容を確認・証明できる資料が不足している」ことを問題として考える必要があります。

6.重要な契約なら、契約内容そのものを整理する

特に、

  • 高額な金銭の貸し借り
  • 業務委託
  • 継続的な取引
  • 不動産に関する契約
  • 会社間の重要な取引
  • 秘密保持契約
  • 長期間にわたる契約

などの場合は、単にコピーを手に入れるだけではなく、現在の契約内容を整理しておいたほうがよいでしょう。

契約書が見つからないことをきっかけに、

「現在もこの条件で契約が続いているのか」

「途中で変更された条件はないか」

「契約期間はいつまでなのか」

「解除についてどのような取り決めになっているのか」

などを確認しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。

7.契約書をなくさないためには「保管方法」も重要

契約書は、作成したら終わりではありません。

必要になったときにすぐ確認できる状態にしておくことも、契約管理の重要な仕事です。

紙の契約書だけを保管するのではなく、可能であれば、

紙+電子データ

の両方で管理する方法も考えられます。

また、契約書のファイル名や保存場所を統一しておけば、数年後に必要になったときにも探しやすくなります。

電子契約の場合には、契約締結後の最終版データを適切に保管しておくことも重要です。電子署名やタイムスタンプが付された契約データを管理・確認できる仕組みもあります。

まとめ

契約書をなくしてしまったからといって、すぐに契約そのものがなくなるわけではありません。

まずは、

  1. 紙の契約書を探す
  2. PDFやメールなどの電子データを探す
  3. 電子契約サービスを確認する
  4. 相手方に保管されている契約書を確認する
  5. 契約後に条件が変更されていないか確認する
  6. 必要に応じて契約内容を整理する

という順番で対応するとよいでしょう。

そして、重要なのは、「なくしたから同じ契約書をもう一度作ればいい」と簡単に考えないことです。

契約書をなくした後に作り直す場合には、最初の契約内容だけでなく、その後の変更や現在の取引状況まで確認する必要があります。

契約書は、単に保管しておく紙ではありません。

「実際に何を約束したのか」を後から確認するための大切な記録です。

だからこそ、契約書をなくしてしまったときこそ、書面だけを見るのではなく、実際の取引内容やこれまでのやり取りまで含めて、契約関係を整理することが大切です。

大野

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