いよいよ行政書士試験が近づいてきましたね。

受験生の皆さん、仕上がり具合はいかがでしょうか。
まだまだ、と思っている方もいらっしゃるかと思いますが、焦らずじっくり仕上げることも大切です。

さて、いきなりですが問題です。

売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、Aは適法に甲土地の売買契約を解除した。Aの解除前に、BがCに甲土地を売却し、BからCに対する所有権移転登記がなされているときは、BのAに対する代金債務につき不履行があることをCが知っていた場合においても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない。

宅建 平成21年の過去問です。

いかがでしょうか?

AはBとの売買契約を解除し、Bが代金を支払っていないことを知っているCがBから土地を購入し、登記も移転している場合、AはCに所有権を主張できるでしょうか。

答えは、〇です。

AはCに対して所有権を主張することはできません。

なぜでしょう。

この問題は、解除前の第三者に関する問題です。

本問では、Cが第三者です。

そして、CはAがBとの売買契約を解除する前に現れています。

解除に関しては、以下の規定が民法で定められています。

第545条
1.当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

民法第545条1項但書では、第三者の権利を害することができないと定められており、この第三者とは「解除よりも前に契約の目的物を譲り受けた者」と考えられています。

そして、解除前に現れた第三者が権利を保護されるためには「登記が必要」とされています。

すなわち、解除前に現れた第三者については、登記を備えた方が勝ちです。

ただ、その第三者がAB間の売買契約の解除原因をしっていた(悪意)場合にも保護されるのか、という問題です。

第三者が善意か悪意かは問いません。

登記を備えているかどうかだけで保護されるかどうかが決まります。

よって、CがAB間の売買契約の解除原因をしっていたとしても、登記を備えている以上、保護されます。

大野