契約書作成・既存契約書見直しのご相談を承っています。取引トラブルを未然に防ぐための予防法務をサポート。業務委託契約、売買契約、フランチャイズ契約など各種契約書に対応しています。オンライン相談対応。法務顧問のご相談も承ります。原則として1〜2営業日以内にご返信しております。

イラストの二次利用・二次的著作物・著作隣接権の違いとは?混同しやすい3つの概念をわかりやすく解説

目次

はじめに

イラスト制作やデザイン制作に関する契約では、「二次利用」という言葉を目にすることがよくあります。

一方で、著作権について調べていると、「二次的著作物」や「著作隣接権」といった似た言葉も出てきます。

これらは名前が似ているため混同されがちですが、実際には意味も法律上の位置付けも異なります。

この記事では、それぞれの違いを具体例を交えながら解説します。

まず結論|3つは全く別の概念

用語意味法律上の用語
二次利用契約で決めた利用範囲を超えて利用することいいえ
二次的著作物既存の著作物を基に創作された新たな著作物はい(著作権法)
著作隣接権実演家やレコード製作者などに認められる権利はい(著作権法)

「二次」という言葉が共通していても、扱う内容はそれぞれ異なります。

二次利用とは

二次利用とは、契約で予定していた利用目的以外にイラストなどを使用することを指す、業界で広く使われている言葉です。

例えば、イラストレーターに「会社のホームページに掲載するイラスト」を依頼したとします。

その後、そのイラストを次のような用途にも使用したいと考えました。

  • パンフレットに掲載する
  • 名刺に印刷する
  • SNS広告に使用する
  • 商品パッケージに印刷する

契約でホームページへの掲載しか認められていなければ、これらの利用は「二次利用」として追加料金や新たな許諾が必要になることがあります。

つまり、二次利用とは契約で認められた利用範囲を超える利用を意味します。

なお、「二次利用」という言葉自体は著作権法で定義されているものではなく、契約実務やクリエイティブ業界で用いられる概念です。

二次的著作物とは

一方、「二次的著作物」は著作権法で定められている正式な用語です。

既存の著作物をもとに、新たな創作性を加えて作られた作品をいいます。

例えば、

  • 小説を映画化する
  • 漫画をアニメ化する
  • 小説を漫画化する
  • 外国映画を日本語吹替版として制作する

といったものは、二次的著作物に該当します。

イラストの場合でも、既存のイラストを基に新たな創作性を加えて別の作品を制作した場合には、二次的著作物となる可能性があります。

ここで重要なのは、「作品そのものが新しく創作されている」という点です。

二次利用と二次的著作物の違い

この二つは混同されやすいですが、考え方は大きく異なります。

例えば、ホームページ用に制作したイラストをパンフレットにも掲載した場合、イラスト自体は何も変わっていません。

利用する媒体が増えただけです。

この場合は「二次利用」の問題であり、「二次的著作物」ではありません。

一方、同じイラストを基にアニメーションを制作したり、漫画として描き直したりした場合には、新しい作品が創作されています。

このようなケースは「二次的著作物」の問題となります。

つまり、

  • 利用方法が増える話が「二次利用」
  • 新しい作品を作る話が「二次的著作物」

と理解すると整理しやすいでしょう。

著作隣接権とは

著作隣接権も著作権法で定められた権利ですが、著作者の権利とは異なります。

著作隣接権は、著作物を創作した人ではなく、著作物を世の中に伝える役割を担う人たちに認められる権利です。

代表的な権利者には、

  • 実演家(歌手・俳優・声優など)
  • レコード製作者
  • 放送事業者
  • 有線放送事業者

などがあります。

例えば、作詞家と作曲家が作った楽曲を歌手が歌った場合、歌詞や楽曲には著作権がありますが、その歌唱そのものには歌手の著作隣接権が認められます。

そのため、歌手の歌唱を無断で録音・配信すれば、著作権だけでなく著作隣接権の問題も生じることになります。

イラスト制作では著作隣接権は関係する?

通常のイラスト制作契約では、著作隣接権が問題になることはほとんどありません。

イラストレーターは著作物を創作する「著作者」であり、著作隣接権者ではないからです。

ただし、イラストがアニメ化され、その作品に声優が出演したり、音楽が付けられたりした場合には、それぞれの実演家などに著作隣接権が発生します。

つまり、作品が映像や音楽へと展開される段階で、著作隣接権が関わってくることがあります。

具体例で整理してみましょう

会社がキャラクターイラストを制作依頼したケースを考えてみます。

ケース1

ホームページ用として制作したイラストを、後から会社案内にも掲載した。

→ 利用範囲が増えただけなので「二次利用」の問題です。

ケース2

そのキャラクターを基にアニメーションを制作した。

→ 新しい作品が創作されるため、「二次的著作物」の問題となります。

ケース3

完成したアニメで声優がキャラクターを演じた。

→ 声優には「著作隣接権」が認められます。

このように、それぞれが問題となる場面は全く異なります。

まとめ

「二次利用」「二次的著作物」「著作隣接権」は、いずれも著作物に関係する言葉ですが、その意味は大きく異なります。

二次利用は契約で定めた利用範囲に関する実務上の概念です。

二次的著作物は、既存の作品を基に新たな作品を創作した場合に問題となる著作権法上の概念です。

そして著作隣接権は、実演家やレコード製作者など、著作物を公衆に伝達する役割を担う人たちに認められる権利です。

これらの違いを理解しておくことで、イラスト制作契約やライセンス契約、著作権譲渡契約などを締結する際にも、どのような権利を定めるべきかが分かりやすくなります。

南本町行政書士事務所では、イラスト制作契約書やライセンス契約、著作権譲渡契約など、クリエイターや事業者の皆様の契約書作成・内容確認サポートを承っています。著作権や利用範囲に関する契約内容でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

大野

目次