①AさんがBさんに言いました。「甲土地を1000万円で売ってください」
すると、Bさんは「いいですよ」と返答しました。
これで契約は成立するでしょうか?
正解は、「成立します」。
契約は原則として「意思表示の合致」によって成立します(民法第522条)。
では、以下の事情があった場合はどうでしょう?
②AさんはBさんに「ダマされて」甲土地を買っていた場合です。
民法第96条1項では「詐欺又は強迫による意思表示は取消すことができる」と規定しています。
この規定に基づきAさんが取消権を行使すると、AB間の売買契約は取消され、初めから無効であったとみなされます(取消の遡及効 民法第121条)。
①の通り、AさんとBさんに意思の合致が認められれば契約は「成立」します。
しかし、②のようにAさんの意思表示が詐欺によるものであったなど取消しができる事情があれば、契約は成立したとしてもそれをなかったことにすることができます。
つまり、契約が「成立」したとしても、それが「有効」かどうかは別問題ということになります。
契約の内容、意思表示などに問題がない場合には「有効」な契約
何らかの問題がある場合には「無効、取消される可能性がある」契約
取消される可能性がある場合には「不確定ではあるものの一応有効」な契約
契約が成立するとその内容を守ることになりますが、その全てが守られなければならないというものではありません。
大野