さて、いきなりですが問題です。
AとBがA所有の建物について売買契約を締結しました。その日付は2024年7月1日です。
建物の引渡しは代金の支払いと引き換えに行うことと合意しました。
しかし、2024年6月30日時点で火事により建物は滅失してしまっていました。
この場合、売買契約は成立するのでしょうか?
正解は〇です。
以前は、契約締結時において債務の履行が不能(原始的不能)の場合、契約は無効と考えられていました。
しかし、民法改正により民法第412条の2が新たに作られ、第2項では債務の履行が原始的に不能であっても契約が有効に成立することを前提とした規定となっています。
よって、Aの建物引渡し債務が原始的不能であったとしても契約は成立しているということになります。
そして契約が成立していますので、建物の滅失がAの責めに帰すべき事由であった場合には損害賠償請求(債務不履行責任)をすることができます。
民法第412条の2
1 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
2 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。
大野