抵当権の効力が及ぶ範囲について、民法第370条は以下のように規定しています。

抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第424条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

建物は独立した不動産ですから、土地に設定した抵当権の効力は建物には及びません。
では、どこまで及ぶのでしょうか。
条文では、抵当権の目的とした不動産とその不動産の付加一体物に及ぶと規定されています。

では、賃借地(土地を借りた)上の建物に設定された抵当権について、抵当権の効力は借地権(土地の賃借権)にも及ぶでしょうか?

答えは〇です。

判例として効力は及ぶとされています。
条文としては民法第87条第2項の類推適用です。

これは、借地権がないと建物は土地を不法占拠していることになってしまい、担保価値がなくなってしまうため、借地上の建物に抵当権を設定した場合、抵当権の効力は建物の従たる権利である借地権についても及ぶと考えられています。

これにより、競売で抵当権が設定されていた建物を落札した人は、建物を所有するのに必要な範囲で借地権も取得することになります。

大野