制限行為能力者は、制限に反する行為をした場合、法律行為の取消しや追認など保護を受けています。

ただ、制限行為能力者側からすぐに取消しがなされるわけではないため、取消しがなされなければ相手方は不安定な状況に置かれ続けることになります。

相手方に非がない場合には、相手方の利益も考慮しなければなりません。

そこで、制限行為能力の相手方は、制限行為能力者が行った取消し可能な法律行為について催告権(20条)を認めています。

これにより、法律関係を確定させることができるようになります。

催告の時期催告の相手方確答しなかったとき
未成年者①行為能力者となった後

②制限行為能力者である間
①の場合:本人

②の場合:法定代理人
①の場合:追認擬制

②の場合:追認擬制
成年被後見人①行為能力者となった後

②制限行為能力者である間
①の場合:本人

②の場合:法定代理人
①の場合:追認擬制

②の場合:追認擬制

※特別の方式を要する場合(後見監督人がある場合にその同意を要する場合)
→「取消し擬制」
被保佐人①行為能力者となった後

②制限行為能力者である間(A)

③制限行為能力者である場合(B)
(保佐人に追認を得るように求めた場合)
①の場合:本人

②の場合:保佐人

③の場合:本人
①の場合:追認擬制

②の場合:追認擬制

③の場合:取消し擬制
被補助人①行為能力者となった後

②制限行為能力者である間(A)

③制限行為能力者である場合(B)
(補助人に追認を得るように求めた場合9
①の場合:本人

②の場合:補助人

③の場合:本人
①の場合:追認擬制

②の場合:追認擬制

③の場合:取消し擬制

未成年者や成年被後見人に対しては、催告することはできません。意思表示の受領能力がないためです(98条の2)。

大野