株式会社を設立すると、取締役が機関として設置されます。

株主総会と取締役は絶対に設置しなければなりません(会社法第326条1項)。

そのほかについては、定款の定めにより、取締役会などの機関を設置することができます。

株式会社の機関とは、会社の意思決定や業務執行など対内的、対外的な活動を行う権限が与えられた地位又は自然人及び法人を意味します。

株式会社を設立すると必ず置かなくてはならない取締役とはどのような機関なのでしょうか。

まず、取締役には義務があります。

・善管注意義務(会社法第330条)
 会社と取締役との法律関係は委任の規定が適用されるため、民法644条の善管注意義務を負うことになります。

・忠実義務(会社法第355条)
 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社の為忠実にその職務を行わなければならない。

この2つの義務は別個のものなのでしょうか、それとも同じものなのでしょうか。

両者は同じであると考えられています(別物であるとするものもあります)。

最高裁は、以下のように述べています。

「善管義務をふえんし、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものではない」

すなわち、善管注意義務と忠実義務は別個のものではない、としています。

会社の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図った場合には、会社の委任関係を無視したものとして、善管注意義務違反として、責任追及されることになります。

大野