意思表示とは、契約の申し込みなど、一定の法律効果を発生させようとして、その意思を外部に表示する行為を言います。

意思表示は、効果意思(一定の法律効果を欲する意思)と表示意思(効果意思を外部に表明しようとする意思)と表示行為(効果意思を外部に表明する行為)の3つの要素から成り立っているとされています(伝統的な意思表示理論)。

学者さんたちの間での多くの支持を得ている(通説)考え方は、表示意思(効果意思を外部に表明しようとする意思)は、意思表示には不要であると考えています。

たとえば・・・・

①のどが渇いたから、ジュースが飲みたい

②ジュースが買いたい

③ジュースを買いたいと店員さんに言おう

④ジュース買います(これください)

という流れで、意思表示は行われています。

売買の場合であれば、④これください、という意思表示に対して、相手方が承諾の意思表示をすれば、売買契約(法律行為)が成立することになります。

①を動機といい、②が効果意思、③が表示意思、④が表示行為です。

動機から、効果意思が発生し、その効果意思を外部に表現しようとする表示意思が発生し、表示行為を行っています。

意思表示は3つの要素から成り立っていますので、①から④の流れでは、要素が一つ増えてしまっています。

そう、①の動機は「意思表示」には当たりません。

動機である(のどが渇いたからジュースが飲みたい)というのは「購入する」(一定の法的効果)ことの発生を欲するものではないためです。

次に、②・③と④が一致しない場合の意思表示を、「意思の欠缺・不存在」といいます。

民法においては、心裡留保(民法第93条)・通謀虚偽表示(民法第94条)・錯誤(民法第95条)が規定されています。

意思表示の欠缺については、意思表示の「無効」が問題となります。

なお、錯誤に関しては、新民法において錯誤無効から錯誤「取消し」(判例上、通常と異なる無効と異なる扱い等が理由となっています→誤解していた相手方のみ主張することが可能で、相手方は無効を主張することができない)

また、②・③と④に不一致はないが、効果意思の形成過程で他人から干渉を受けたことで、完全で自由な判断ができなかった場合の意思表示を「瑕疵ある意思表示」といいます。

民法においては、詐欺・強迫(民法第96条)が規定されています。

瑕疵ある意思表示については、意思表示の「取消し」が問題となります。

☆無効と取消

無効:法律行為の効果をはじめから発生させないこと

取消:いったん発生した法律効果を、後になってさかのぼって最初から法律効果が発生しなかったことにすること

大野