印紙税は、契約書や領収書などの文書を作成した人が収入印紙を文書に貼付、消印して納付する税金です。
日本では、1873年(明治6年)に導入されました。
ヨーロッパに倣ったもので、「受取諸証文印紙貼用心得方規則」(太政官布告)の公布によって、金銭の受取書や借用書などの文書に課税がなされるようになりました。
現在では、印紙税法が定められています。
印紙税の始まり
日本では1873年の地租改正時に印紙税が導入されましたが、これはヨーロッパに倣ったものです。
ということは、ヨーロッパには日本に印紙税が導入される前に既に存在していたということになります。
では、印紙税の始まりはどのように言われているのでしょうか。
印紙税は、オランダで考案されたものであるといわれています。
1624年に八十年戦争の戦争費用を調達するために、税務職員ヨハネス・ファン・デン・ブルックにより考案されました。
これといった目立った産業がなく、新たな税財源が見つけられないが、財政再建が必要・戦争費用の調達が急務、といった時代背景から導入されたのが印紙税といわれています。
印紙税は、文書に対して課税するもので、その範囲は広く、その額も大きくはありません。
そのため、導入が比較的行いやすいといえます。
そしてオランダが導入した印紙税制度は、瞬く間に西欧諸国に普及していったといわれています。
西欧諸国に普及していきましたが、戦争が終わった現代においては西欧諸国において印紙税は廃止されています(日本では現在も残っています)。
なぜ印紙税なのか
印紙税が導入された背景は、財政再建・戦争費用の調達ですが、なぜそれが印紙税だったのでしょうか。
印紙税の対象は、文書です。
財産や権利等の取得、移転をする(流通取引)際に作られる文書に対して課される税金です。
印紙税制度がなかった時代でも、貿易などは盛んにおこなわれており、その際に文書でやり取りをしていたはずですので、契約書の金額に応じて税金を課せば新たな収入源となります。
すなわち、無から有を作った制度が印紙税です。
しかし、印紙税が課される文書として納税をした(収入印紙を貼付・消印をした)としても、その記載内容について国家が保護してくれる(守ってくれる)わけではありません。
もっとも、収入印紙を貼付・消印を施した場合には、契約の内容を変えることは難しくなり、契約書に書かれている内容が反映しやすくなる、すなわち、取引の安定にもつながるということはあります。
そして、経済取引をし、文書を作成・取り交わすということは、利益があるはずであり、収入印紙を貼付することで取引の安全も図られることから、税金を納める能力(担税力)はあるはずだとして、印紙税は維持されています。
課税文書とは
課税文書とその額については、契約書と収入印紙の額│南本町行政書士事務所 大阪のページをご覧ください。
印紙税の納付方法
印紙税を納入する方法として頭に思い浮かぶのは、収入印紙の貼付です。
この方法が印紙税を納付する方法の原則となります。
そのほかに印紙税を納付する方法としての特例が存在します。
- 原則
収入印紙の貼付・消印(印紙税法第8条第1項)。 - 特例(例外)
・税印押なつによる納付
あらかじめ印紙税を納付したうえで、税印押なつを設置している税務署(全国で118署)の税務署長に対し、課税文書に税印を押すことを請求する方法(印紙税法第9条)。
・印紙税納付計器の使用による納付
あらかじめ印紙税を納付した金額を限度として、所轄税務署長の承認を受けて設置した印紙税納付計器により納付印を押す方法(印紙税法第10条)。
・書式表示による納付
所轄税務署長の承認を受け、書式表示による申告納付の方法により金銭で納付する方法(印紙税法第11条)。
「印紙税申告納付につき税務署承認済」という表示を見たことがあると思います。
この場合、印紙税は翌月末日までに申告納付します。
この方法が使用できるのは、以下のいずれかの文書に該当する場合です。
a:毎月継続して作成されることになっている課税文書
b:特定の日に多量に作成されることになっている課税文書
・預金通帳等に係る一括納付
特定の預金通帳等を作成しようとする場合、その預金通帳等を作成相とする場所の所轄税務署長の承認を受けて、金銭で一括して印紙税を納付する可能です(印紙税法第12条)。
この場合、4月1日現在の口座数を基礎として、4月末までに申告納付します。