会社を設立する際、設立後の事業がスムーズに開始できるようにするために、資産を確保することがあります。
例として、車や不動産などです。
そんな会社設立後に事業をスムーズに開始するための必要な資産を確保する行為として、財産引受があげられます。
資産を確保する方法として、現物出資もありますが、発起人しか認められていません。
財産引受の場合は、第三者からも財産を買うことができる(譲り受けることができる)点に現物出資との違いがあります。
財産引受とは
会社設立後に必要な資産を確保するための財産引受ですが、そもそも財産引受とは何なのでしょうか。
財産引受(会社法第28条第2号)、発起人が会社のために会社設立を条件として会社設立後に特定の財産を買い受ける(譲り受ける)ことを約する契約を言います。
出資行為ではなく、取引行為です。
また、会社成立前に特定の財産を買い受ける(譲り受ける)契約は開業準備行為となり、発起人にその効果が帰属しますが、成立後の会社に効果を帰属させるためには、取引の相手方との間で、発起人の契約上の地位を成立後の会社に帰属させる旨の合意が必要とされています。
財産引受の規制
会社成立後に必要な資産だからと言って、むやみやたらに特定の財産を購入したり、特定の財産(目的物)が過大に評価されていたりすると、会社設立間もない経営基盤が脆弱な会社にとって、財産的基盤を失いかねません。
たとえば、事業用の車を200万円で購入したが、その価値が20万円だった場合、会社から180万円もの資産が流出したことになってしまい、会社の財産的基盤が失われてしまいます。
経営基盤を整えて、しっかりと経営してもらうためには、設立時にむやみやたらに会社から資産が流出することは防がなくてはなりません。
また、現物出資に関する規制を潜脱する方法として財産引受が用いられる可能性もあります。
そこで、会社法は第28条第2号において、財産引受に関する規定をおいています。
すなわち、財産引受を「相対的設立事項(変態設立事項)」として、定款に記載をしなければ効力は生じさせないようにしています。
そして、会社が財産引受によって財産を買い受ける場合には、原則として検査役の調査を受けなければなりません(会社法第33条)。
検査役の調査が不要の場合は、現物出資とは│南本町行政書士事務所 大阪をご覧ください
定款に記載がない財産引受
財産引受をするためには、定款に記載が必要です。
定款に記載がなされた財産引受は、会社成立後の会社を契約上で拘束させる効果があります。
では、定款に記載がない場合には、どうなるのでしょうか。
判例の立場は絶対的無効と解しています。
成立後の会社からの追認は認められず、譲渡人から無効を主張することは可能とされています。
財産引受をする際の定款記載事項
財産引受をする場合、その内容を定款に記載する必要があります。
- 財産引受の目的物とその価額
- 譲渡人の氏名(名称)