この話は、こういった場面で考えます。
ホルマリンで眠らせて、その後崖から落として殺す、このような計画を立て犯罪を実行した人がいたとします。
しかし、実際には、ホルマリンで眠らせた時点で被害者は死亡してしまった。これを知らずに犯人は崖から落とした。このケースではそもそも何が問題となるのでしょうか?
以前にもお話ししましたが、犯罪の成立のためには、故意が必要なのです。故意とは犯罪の認識認容をいいます。つまり頭で考えた通りに実行したこれが悪いでしょ、だから罰するという流れですね。
しかしこのケースでは、頭の中と事実に差があるのです。こういう思いで殺したんじゃないよ、こういう言い訳でを犯人がしてくるわけです。そこをどう整理するのか、ということです。
ここでは、要するに事実が異なったっとしても、異ならなかったとしても結果的に殺す意思で殺したのだから殺人ですよね、という理屈を考えるわけです。
第1行為は第2行為に密接に行為であること第1行為開始時点ですでに客観的に被害者は危険であったこと、そして当初の計画と異なったことは因果関係の錯誤として処理をするということです。
つまり、今回の2つの行為は時間的にも場所的にも一連の行為と言えるほど密接と言えます。ホルマリンは危険なので眠ることもあるが死ぬこともあるそれほどに危険な行為であった、と言えます。ということはもはや2つの行為のうちどこで結果が生じたとしてもそれは一つの行為と言えます。ただ頭の中は事実と差があるわけです。ここは、予定していた因果関係と異なったんですが、この結果までの経路が違ったとしても生じた結果の犯罪の範囲内で一致しているならそれは故意がなくなるほどの問題はないと考えます。
行政書士 西本