売り上げが思うように上がらない、そういった時に何をしますか?
すぐ思いつくのは、販売価格を下げることです。価格が安いと購入しやすくなるわけですから売り上げは一時的に伸びます。
しかし、これは蟻地獄の始まりです。価格を下げるのは最後の最後の手段と心得ておいた方がよいでしょう。
なぜかと言いますと、価格を下げるという事は、その価格だから来る人が増えることを意味します。例えば今まで5万円だったものを3万円にしたら、5万だと買いたくないけど3万なら買いたいという人を取り込むことになります。
売り上げという意味で言いますと、5万円を2つ売れば10万円です。この10万円に相当する売り上げを3万円で作るためには3万円を2つでは足りず、約3つ売る必要が出てきます。簡単な算数です。となると、労力は3個分必要になり、しかも10万円には届いていないといった事態を招き、忙しくなる割には実入りが少ないという事になります。それでも売れないよりはいいかもしれません。しかし問題はここからです。しばらくするとその3万円でも売れなくなります。なぜでしょうか?それは安くなったことで、もっと安くなるかもしれないと考える人が出るからです。特に5万円で売られていたことを既に知っている人はこう思うでしょう。
さらに、3万円でも高いという人はいます。安いものと認知され始めると、ブランディングは保てなくなり、価格だけを購入基準にする顧客層がメインターゲットとなってしまいます。
これでは、薄利多売となり企業は倒産へ向かってしまいます。だからといって商品価値に見合っていない価格では売れません。消費者は賢いですから、あり得ない値段では取引は成立しないでしょう。
適正価格というものは存在します。その適正価格を頼りに、自分のコストと照らし合わせ企業が存続できる価格を設定してください。
あなたの会社が存続することで社会はその品質の良いサービスを享受できるのですから、社会のために存続することを選択し、価格を下げることはしないでください。
そうはいっても価格を下げなければならない場面もなくはないでしょう。次回はそんな話をしたいと思います。
行政書士 西本