経営コンサルタントの倒産が急増——時代が変わったのか、それとも信頼の崩壊か
「経営コンサルタント」という言葉に、かつては“成功請負人”のような響きがありました。
経営の改善、売上アップ、人材育成、マーケティング戦略。
しかしいま、そのコンサルタント業界で倒産件数が急増しているのです。
なぜコンサルが倒産しているのか
理由は一つではありません。
むしろ、いくつもの「構造的な変化」が重なった結果です。
中小企業の体力低下
取引先となる企業そのものが業績悪化し、コンサルへの支払いが続かない。
顧問料よりも、まずは「目の前の資金繰り」。
この構造的な変化が、コンサル業界を直撃しています。
成果が“可視化”されすぎた
かつては「経営改善の助言」そのものに価値がありました。
しかし今はデータが全て数字で見える。
SNS広告の効果も、AI分析も、成果が見えすぎて「本当に必要か?」と問われる時代です。
AIの進化による代替
かつてコンサルが提供していた「分析」「戦略立案」は、AIが秒で出せるようになりました。
ChatGPTや各種BIツールは、もはや人間の分析を凌駕するほどの精度を持ち始めています。
“考えるプロ”がAIに置き換えられ始めている現実です。
「信頼の商売」が崩れ始めている
経営コンサルティングとは、「信頼で成り立つビジネス」です。
しかし一度でも、顧客が「思ったほど成果がなかった」と感じると、契約は続きません。
SNSの普及で、実名付きの悪評が一気に拡散する。
その影響力は一昔前とは比べものにならず、1件のトラブルが事務所の信用を吹き飛ばすことさえあります。
「先生ビジネス」の終焉
多くのコンサルは「自分が上、クライアントが下」という構図で長くやってきました。
しかし、今の時代は違います。
クライアントも知識を持ち、情報はネットで誰でも入手可能。
「上からの助言」ではなく「横並びの伴走者」が求められているのです。
つまり、“先生型”のコンサルは淘汰され、“共創型”のコンサルだけが生き残る。
生き残るコンサルとは
これからの時代に求められるのは、AIにも代替できない領域を扱える人です。
経営者の感情に寄り添えること
判断の「意味」を共に考えられること
システムよりも「人間」を見られること
数字の裏にある“想い”や“文化”を理解し、企業と一緒に走る——
そんな存在だけが、これからのコンサルティングを支えるでしょう。
終わりに
経営コンサルタントの倒産は、時代の変化の象徴でもあります。
それは“不要になった”のではなく、“形を変えようとしている”ということ。
人とAI、理屈と感情、その狭間に立つ新しい「伴走者」の姿が、いま問われています。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本