人生の終わりや家族の相続に関わる重要な書類である遺言書。もし偶然、遺言書を発見した場合、どのように対応すべきでしょうか。ここでは、遺言書を見つけたときの適切な手続きや注意点を解説します。
目次
1. 遺言書の種類を確認する
遺言書には大きく分けて以下の3種類があります。
- 自筆証書遺言
- 遺言者が全文を自筆で書いたもの。
- 発見時は、家庭裁判所での「検認手続き」が必要。
- 公正証書遺言
- 公証人が作成し、公証役場で保管されているもの。
- 原本は公証役場にあるため、発見した場合でも家庭裁判所の検認は不要。
- 秘密証書遺言
- 遺言者が内容を秘密にしたまま公証役場に提出する形式。
- 発見時は自筆証書遺言と同様、検認手続きが必要。
2. 発見したらすぐに手を付けない
遺言書を見つけても、安易に内容を開封したり、コピーを取ったりしてはいけません。
特に自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認前に開封すると5万円以下の過料が科されることがあります(民法1004・1005条)。
ポイント:
- 遺言書は原本のまま保管
- 他人に内容を伝えない
- 決して勝手に開封しない
3. 家庭裁判所での検認手続き
自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見した場合は、家庭裁判所での検認が必要です。
検認手続きの流れ
- 遺言書を持って家庭裁判所に申立て
- 家庭裁判所が日時を指定して検認
- 相続人全員立ち会いのもと、遺言書の存在と形状を確認
- 検認済証明書が発行される
検認は「遺言書の偽造や変造を防ぐため」の手続きであり、遺言の内容の正当性を判断するものではありません。
4. 公正証書遺言の場合の対応
公正証書遺言の場合、遺言書の原本は公証役場に保管されています。
発見した場合は、まず公証役場に連絡し、遺言の内容や手続きについて確認しましょう。
家庭裁判所の検認は不要ですが、相続手続きの際には遺言書を提出する必要があります。
5. 発見時に注意すべきポイント
- 遺言書の発見時に紛失や破損を避ける
- 遺言者の死亡を確認してから手続きを開始
- 相続人同士でトラブルにならないよう慎重に行動
- 内容に不安がある場合は、専門家に相談
6. 専門家に相談するメリット
- 遺言書の形式や有効性の判断
- 家庭裁判所への申立て手続きのサポート
- 相続人間のトラブル回避
弁護士や行政書士、司法書士に相談することで、安全かつ円滑に遺言の手続きを進められます。
まとめ
遺言書を発見した場合は、
- 種類を確認
- 勝手に開封しない
- 家庭裁判所で検認(自筆証書・秘密証書の場合)
- 専門家に相談して安全に手続きを進める
遺言書は、相続トラブルを防ぐ重要な書類です。適切に対応することで、円満な相続を実現できます。
大野