先日、囲繞地通行権について、ブログを書かせていただきました。
本日は、囲繞地通行権と似て非なるものである、通行地役権についてです。
まずは、囲繞地通行権は他人の土地に四方八方を囲まれ、道路に出ることができない土地の人が、道路に出るために他人の土地を通行できる権利です。
この権利は、民法第210条に規定された、法が認めた権利です。
では、通行地役権とは何でしょう。通行地役権と言っていますが、地役権です。
地役権とは、他人の土地を自己の土地の便益に供することができる権利です。
地役権について民法第280条では、以下のように規定しています。
「地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。」
便益に供する土地を
「要役地」(役に立ってもらう必要がある土地)
便益に供される土地を
「承役地」(役に立つことを承った土地)
といいます。
そして、地役権の内容は当事者間の契約で自由に決めることができます。
地役権の内容として、要役地の所有者が「承役地を通行することができる権利」、としたものが「通行地役権」といわれています。
よって、通行地役権として簡単に説明するとするならば、他人の土地を通行することができる権利と説明されます。
要役地、承役地を通行地役権に落とし込んで説明すると、
通行が必要な土地
「要役地」
通行させてあげる土地
「承役地」
となります。
囲繞地通行権と通行地役権との違いは、
囲繞地通行権は法律上、当然に発生する権利ですが、
通行地役権は当事者間の合意によって発生する権利です。
また、通行地役権は囲繞地通行権とは異なり、袋地(他人の土地に囲まれ道路に出れない土地)である必要はありません。
さらに、
囲繞地通行権は、原則有償(償金を支払わなくてはならない 民法第213条)ですが、
通行地役権は原則無償(民法第280条)となっています。
どちらも他人の土地を通行するという意味では同じですが、中身は異なります。
大野