その契約取消します。という意思の表示が認められるとその契約をする前に遡って無効となります(民法第121条)。
すなわち、取消しは法律行為(契約など)に欠陥があった場合に、不利益を受ける者に一応は有効な行為を無効にすることができる権利ということになります。
一応は有効な行為を無効にする、どこから無効になるのかというのが、民法第121条に規定されており、「はじめから無効」となります。これを取消しの遡及効といいます。
法律行為に欠陥があった場合とは、どんな場合でしょうか。
つまり、取消原因としてどんなものがあるでしょう。
①制限行為能力者が法律行為をした場合
制限行為能力者、例えば未成年者が親の同意を得ないで行った法律行為は原則として取消すことができます(民法第5条第1項、第2項)。
②錯誤、詐欺、強迫があった場合
③無権代理行為があった場合
代理権がないにもかかわらず代理人として法律行為をすること等を無権代理といいますが、表見代理(代理権があるような外観があった場合には代理権があったものとして本人に対して効果を帰属させる)の場合を除き、本人が追認するまでは本人に対して効果を帰属させることはできません。
それでは無権代理行為をされた相手方は不安定な地位に置かれ続けることになりますので、無権代理によって締結された契約の相手方は本人が追認するまでの間は、取消しができます(民法第115条本文)。
大野