さて、いきなりですが問題です。

AさんはBさんと結婚し、CとDの二人の子供がいます。
Bさんが死亡し、そのあとにAさんもなくなりました。

このとき、Aさんを相続するのはCさんとDさんですが、Aさんは甲不動産を所有していました。
遺産である甲不動産は賃貸に出しており、遺産分割協議が成立するまでの間にも賃料債権が生じています。

遺産分割協議が終わるまでの間、CさんとDさんが相続分に応じて、その賃料債権を取得していました。
その後、遺産分割協議で甲不動産をDさんが取得するということになった場合、Cさんは既に取得している賃料債権を返さなければならない。

さあ、どうでしょう。

相続開始後から遺産分割確定までの間の賃料債権は誰のものになるか、という問題です。

答えは、×です。

相続開始後に発生する賃料債権は、「遺産」とは別個の財産と考えられています。
そして、その賃料債権は共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得することになっています。
確定的に取得していますから、後になされた遺産分割の遡及効による影響は受けないため返さなくてもよい、ということになっています。

すなわち、遺産分割までは、不動産を相続する人が賃料債権を取得するのではなく、法定相続分に従って取得します。

大野