著作者とは、著作物を創作した者をいいますが、著作物の製作を常に一人で行うとは限りません。
複数の者が著作物の制作に関与して共同で制作すれば共同著作となります。
ちなみに著作物とはどういうものかといいますと、今回の説明からはそれますのでとりあえずは、一般の人からみて芸術性のある絵とか、音楽とか、舞踊の型なんかをいうものとしておいてください。
話を戻しますと、共同著作であるというためには、2人以上の者が共同して創作した著作物であってその各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいうと定義されています(著作権法2条1項12号)。
ではこの共同著作となるための要件を分解して一つ一つ見ていきましょう。
1まずは二人以上の者が創作的に関与していることが必要です。これは例えば一枚の絵を二人で描いたという場合には問題なく満たします。曲(歌詞は抜きにして)を二人で共同で制作(サビはAさん、残りはBさんが作曲したとかでもいいです)したような場合もこれに含まれます。
問題となるのは一方が単に助言しただけという場合、この場合にはその助言がどの程度の強い関与があったかは出来上がった作品との関係で決まります。コンサルタントの関与という問題ですね。
2共同性これは複数の者の創作行為そのものに共同性がないといけないとされています。例えばある小説を一方が英語で作りそれをもう一方が日本語に翻訳したような場合には時間的なずれがあるだけで二人で共同して制作したとは言えません。あくまで小説そのものを二人で作る必要があります。もっとも、構成とストーリーを分けて作るとしたら共同での制作と言える可能性が高いですね。
3分離可能性分けることができないという条件です。それこそ絵であれば分けることはできません。曲も先ほど説明のように、曲のサビと他の部分という分け方であれば共同著作という可能性はありますが、一方が作曲、もう一方が作詞ということになるとこれは作曲と作詞は分けることができ、それぞれ別々の著作物ということになります。
ではそれぞれの要件をみたし共同著作物となればどのような効果があるのでしょうか?
まず著作者人格権は共同で行使しなければなりません(法64条1項)。よって、公表することなどは、全員で相談して公表するかどうかを決定することになります。著作権(支分権)も他の共有者の同意がないと行使できないため例えば自己の持分を譲渡するのも同意が必要となります(法65条1項)。
行政書士 西本